『白石かずこ/Dedicated To The Late John Coltrane』
白石かずこ(朗読), サム・リバース(saxophone, flute, piano and percussion), アンドレイ・ストロバート(percussion), バスター・ウィリアムス(bass), アブドゥール・ワダド(cello)
My Tokyo/Dedicated to the Late John Coltrane/Once Again the Season of the Sacred Lecher
これは奇蹟のレコーディングである。詩の朗読と音楽のコラボレーションが行われることは近年多いが、本質的な意味において、ひとつの境地を見せてくれることは稀だ。だが、コトバと音のインタープレイが、詩を立体的に浮かび上がらせる幸福な瞬間があることも知っている。まさに、そんな最高の時を捉えたのがこの録音だ。文字の呪縛から解き放たれたコトバは音韻となり、ジャズと相見え、交合し、活字にはないリアリティをもって、わたしたちを突き動かす。サム・リヴァースをはじめとするミュージシャンは、日本語を解さない筈なのに、日本語で書かれた詩を完璧に理解し、演奏しているようにしか聞こえない。しかもこの時が詩人との最初の出会いなのに。なにかとてもスピリチュアルで摩訶不思議な力が働いていたとしかいいようがない。1976年10月10日ニューヨークでの邂逅は、レコードに封じ込められた時代の空気とともに、再び甦った。(横井一江) JT