『佐藤允彦&SAIFA/ライヴ・アット・メールス 〜 トリビュート・トゥ・富樫雅彦』
(1)The Song (2)The Arch (3)Song for Domingo (4)Mr.Joke (5)Waltz Step
佐藤允彦&SAIFA 〜 佐藤允彦(arr/cond/pf) 峰厚介(ts) 山口真文(ss) 多田誠司(as) 田村夏樹(tp) 松本治(tb) 山城純子(b-tb) 加藤真一(b) 安藤正則(ds) 岡部洋一(perc)
最初の曲≪The Song≫が始まると、会場にはそれまでのステージとは全く異なった音風景が立ち上がってきた。日本から離れた地で富樫雅彦作品を聴くと、ジャズ、フリージャズのイデオムの中に組み込まれた日本的な美学や情景が、そのサウンドからよりクリアーに伝わってくるから不思議だ。富樫抜きで富樫作品=富樫ワールドを表現、などということができたのも、富樫と音楽上の付き合いが深い佐藤允彦ゆえ。しかも、元となる譜面は五線紙一枚。オタマジャクシの隙間に潜んでいる作曲者富樫の意図を読みとり、編曲・指揮することで富樫の世界を呈示した佐藤の手腕は言うまでもない。演奏自体は荒っぽいともいえるのだが、場がもたらした緊張感はエナジーとして昇華され、得難いステージとなったのだ。あの時、佐藤の中には二人のマサヒコがいたような気がする。最後に演奏した≪Waltz Step≫の編曲が会場のサーカステントの雰囲気にあまりにもピッタリとハマっていたことと客席の暖かな空気が今も印象に深い。 JT (横井一江)