『Sao Paulo Underground/SAUNA:Um,Dois,Tres』
1.Sauna: Um, Dios, Tres 2. Pombaral 3. Realm
of the Ripper 4.Olhosss 5. Afrihouse 6. Black Liquor 7.
Balao de Gas 8.
Numa Grana 9. O Armarinho 10. FSY
Mauricio Takara(drums, percussion,
computer, sampler)
Rob Mazrek(cornet, computer, electronics, piano)
Others
Recorded and mixed by Fernando Sanches at Rocha Studio, Sao Paulo 2005
「偉大なるインプロヴァイザー不在のジャズ・シーンで縮小再生産されるものを "ジャズ"として有難がって聴かねばならない今の若い世代は可愛そうだ」的な論調をたまに目にする。それは得てしてマイルスをリアルタイムで体験した評論家の言葉だったりするのだが、本盤はそういった憐れみなど余計なお世話と感じさせてくれる一枚だ。
これまでシカゴでAACM直系のジャズをアップデートした音楽を作り続けてきたコルネット奏者のロブ・マズレクがブラジルのマナウスへと移住したのを発端に始まったプロジェクトの処女作。マズレクとサンパウロのパーカッション奏者マウリシオ・タカラとの2人が中心となって殆どのトラックが組み立てられており、タカラのアフロ色濃厚な打楽器群とマズレクのコルネットがコンピューター上で緻密に編集されたトラックからはサンパウロのストリートの喧騒とむせ返るような湿気が立ち上ってくる。
パーカッションの叩き出すグルーヴに曲を牽引させるのではなく、寧ろ各楽器のタイム感をずらしスタジオでのジャム・セッション風ニュアンスが念入りに消された編集からは、新しい音の衝突のエネルギーが生み出されている。
21世紀の'現在'の野生と知性とが封じ込められた上質な作品だ。JT (今村健一)