『ジム・オルーク/コロナ 東京リアリゼーション』
武満徹作曲
1.ピアニストのためのコロナ
東京リアリゼーション1
2.ピアニストのためのコロナ
東京リアリゼーション2
演奏:ジム・オルーク/ Pf, Hammond Organ, Fender Rhodes
多重録音
Produced by Jim O ' Rourke
Recorded & Mixed at Sony Music Studios Tokyo,
July 11th, 2006
Recorded by Takashi Sasaki
Assistant Engineers:Motohiro Noguchi, Fumikazu Saitoh
Mastered at H2 Mastering,
Tokyo, July 20th, 2006
Mastered by Hiroyuki Hosaka
没後 10年の武満関連企画が多かった今年、その掉尾を飾る1作。デザイナー杉浦康平と共作の図形楽譜作品『ピアニストのためのコロナ』(62年初演)を、鬼才ジム・オルークが読み解く。青・赤・黄・灰・白の真四角な色紙(同心円や記号が描かれ、切り込みが入る)を、ピアニストが様々に組み合わせて演奏するもので、オルークは2ヴァージョンを収録。
聴き比べも良いが、それより裸身で音に潜(もぐ)りたい。たとえば深海を回遊する魚になって。魚には魚の道があり、全てはゆらゆら、命の点滅。けれども動かぬ岩影に、獲物を狙う眼のひそみ、しゅっと鱗を削がれもし、そういう「動不動」「生死」の間をゆるる、ゆるると巡るのだ。あるいは、漆黒の森闇をさまよう野鹿になって。けもの道にも降る月光、風にパラパラ木の実落ち、とおく異獣の吠える声。凍る空気に万象が、皮膚を切り裂く迷い道。オルーク言うところの、武満がそっと置いた「小さな隠し扉を丁寧に開く」作業は、そのような道行きかと思われる。「あるようで、無く、無いようで、ある」ものの間を、さあ、膚を晒して、かい潜(くぐ)りかい潜り、行こうではないか。JT (丘山万里子)