コロムビアミュージックエンタテインメント COCB-5357

『ジム・オルーク/コロナ ― 東京リアリゼーション』

● Jim O'Rourke (Piano, Hammond Organ, Fender Rhodes)

●ピアニストのためのコロナ―東京リアリゼーション1 (武満徹作曲)/ピアニストのためのコロナ―東京リアリゼーション2(武満徹作曲)

● Produced by Jim O'Rourke
● Recorded and Mixed at Sony Music Studios (Tokyo), July 11 2006
● Recorded by Takashi Sasaki
● Mixed and Edited by Jim O'Rourke

 楽譜ではなく円グラフのような図譜 (図形楽譜)により演奏家への指示と共同作業への示唆がなされる武満徹の作品「ピアニストのためのコロナ」に、現在日本在住のジム・オルークが取り組んだ本作は、本年度屈指の1枚だ。
 この作品は複数のピアニストが演奏してもよく、また1人のピアニストが多重録音により演奏を完成する事も認めている。オルークは後者をとり、内部奏法を含むピアノ演奏とフェンダー・ローズ、ハモンド・オルガンの演奏を重ね録りしている。
 事前に入念にプランニング ― それは図形楽譜を通じての故武満徹との対話でもあったろうか ― してスタジオ入りしたであろうオルークが完成した演奏が2ヴァージョン収録されているが、どちらも非常に即興性に富んだもの。持続音に加えて不安定ともいうべき打音や擦音がふんだんに盛り込まれるので、演奏時間の流れに空間知覚を刺激する楔 (くさび)が様々に打ち込まれる。無調性感の強い抽象に、肉体を含む三次元の具象が拮抗する緊張感が全編に保たれるさまは例えようもなく美しく感動的だ。
  20世紀の現代音楽、電子音楽、そして即興演奏を収斂させたごとくの本盤は、優れた即興表現とは、衝動や自由や不確実性に頼るだけではなく、それらが自律や不自由や指針と共に高められた末にあるのだと、聴き手にあらためて気づかせてくれる。JT (原田正夫)

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