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阿佐谷ジャズストリート2011
photo & reported by 望月由美 |
今年で第17回を迎えた阿佐谷ジャズストリート2011、今年のテーマは『ジャズでみんな元気に』。東日本大震災から7ヶ月余りというタイミングでの開催に実行委員会は、音楽を聴いて明日を見つめる希望や夢が少しでもふくらむことを願って開催を決めたということである。10月28日(金)と29日(土)の二日とも天候にも恵まれどの会場も満員の大盛況であった。共通パスポートで全会場自由に入れるパブリック会場と、青空の下無料で楽しめるストリート会場、そして阿佐谷のライヴハウスやレストランなどのバラエティ会場でさまざまなセッションが繰り広げられた。
今年の阿佐谷の最大の呼び物は昨年に続いて2年連続出場の山下洋輔ニューヨーク・トリオ。また初回より連続出演のマーサ三宅(vo)、同じく常連の鈴木良雄BASS TALK、地元出身の小田陽子(vo)や森崎Bella (vo)、塚越洋子(vo)など中央線ゆかりのミュージシャンが多数出演した。
今年初参加の本田珠也presents世界逸産や2ndアルバム『アピアランス』(JUMP WORLD)で注目されているギラ・ジルカfeaturing矢幅歩with竹中俊二 も新鮮な魅力を初披露し喝采を浴びた。
また、昨年に引き続き立石一海(p)トリオの<GHIBLI meets Jazz>、ジャズ漫画家ラズウェル細木の<ジャズ入門講座>が開催されるなど子供から大人まで一緒に楽しめるバラエティに富んだプログラムが目白押し。無料のストリート会場では杉並区役所音楽部リズムテイストや杉並第二小学校ウインドバンド、都庁スイングビーツなどアマチュアバンドも多数出演、恒例の杉並第一小スーパージャムセッションに至るまでプロ、アマ、市民が一体となってまさに街全体がジャズ一色に染められた二日間であった。
#1.山下洋輔ニューヨーク・トリオat神明宮・能楽殿
阿佐ヶ谷ジャズストリートの顔、山下洋輔は昨年に引き続きフェローン・アクラフ(ds)、セシル・マクビー(b)との山下洋輔ニューヨーク・トリオでの登場。28日(金)の夕刻、毎年のことながら神明宮の周囲には開場を待つ人並みで長蛇の列、一時間ほど並ぶ。山下洋輔NYトリオは今年で結成23年、メンバー不動の結束力の強いユニットであり、スタートから全速力で疾走しスリリングな山下ミュージックの妙をフル展開した。演奏は今年の2月にリリースされた『ディライトフル・コントラスト/山下洋輔ニューヨーク・トリオwith金子飛鳥ストリングス』(Verve)からの曲が中心で、<チャット・イン・ア・ドリーム>や<エレジー>など。10月末の境内は時間が経つとともにぐんぐん冷え込んでゆくが山下洋輔の全身全霊をこめたソロや得意のひじ打ち、フェローン・アクラフ(ds)のダイナミックなソロ・パフォーマンスなどで会場は熱気に包まれた。

山下洋輔ニューヨーク・トリオ
#2.鈴木良雄BASS TALK at 阿佐谷聖ペテロ教会
二日間とも面白いプログラムが満載で、しかも同時進行するのが阿佐谷ジャズストリートの特徴。28日(金)は山下洋輔NYトリオと同じ時間帯に鈴木良雄BASS TALKもプログラムされており、筆者は1stセットは山下さんを聴き、2部は阿佐谷聖ペテロ教会に向かう。こちらは神明宮の熱狂ぶりとはうって変わってゆったりと落ち着いた雰囲気が漂う。鈴木良雄(b)は中学、高校と杉並の学校で学んでいるので阿佐谷は第2の故郷のような親しみを抱いているとのことで、笑顔も演奏も穏やかで優しい。

鈴木良雄(b)
鈴木良雄(b)、野力奏一(p)、井上信平(fl,perc)、岡部洋一(perc)の気心の知れた4人によるBASS TALKは結成して早くも10年、来春には新作をリリースすると云うアナウンスがあったが、ステージではグループの代表的なレパートリー<イースタン・タウン>や新曲<ダンシング・ルナ>など鈴木良雄のオリジナルを演奏、アコースティックなサウンドが阿佐谷聖ペトロ教会にほどよく溶け込んでいた。鈴木良雄は客席とのコンタクトも上手で、観客の中からこの日、10月28日生まれの人をつのる。観客のひとりが名乗りを上げると、すぐさまその方を祝福して鈴木良雄みずから率先して<ハッピー・バースデイ>を唄い、教会全体が和気藹々、手拍子でお誕生を祝う集いになるなど楽しいステージが繰り広げられた。

鈴木良雄(b) 岡部洋一(perc) 井上信平(fl)
#3.本田珠也presents 世界逸産、産業商工会館に初登場
今年は平泉と小笠原諸島が世界遺産に登録されて話題を呼んだが、産業商工会館には世界逸産が登場しピュアでクールなアコースティック・サウンドでファンを魅了した。編成は五十嵐一生(tp)、吉澤はじめ(p)、荒巻茂生(b)、本田珠也(ds)というジャズ界きっての逸材そろいの世界逸産。都内では演奏を聴く機会の少ないグループなだけに貴重なステージであった。

吉澤はじめ(p) 荒巻茂生(b) 五十嵐一生(tp,fl,perc) 本田珠也(ds)
世界逸産はオリジナル曲を中心にジャズ・スタンダードも交えての演奏。一部で演奏したビル・エヴァンスの愛奏曲<ターン・アウト・ザ・スターズ>で、五十嵐一生(tp)がブリリアントで力強い、しかし根底には情感のこもったリリカルなプレイを展開、繊細でファンタスティックな世界をくりひろげた。

五十嵐一生(tp) 本田珠也(ds)
#4.ストリートを楽しむ
ジャズストリートの2日間は阿佐谷の街全体がジャズ一色に染められる。一歩JR阿佐谷駅を出ると街のあちこちでジャズが鳴る。早稲田通りから青梅街道までの中杉通りと七夕祭りでも有名なパールセンターを中心に様々なお店が工夫をこらしてジャズを演出しているので、街を歩いているだけでもジャズが楽しめる。
●JR阿佐谷駅北口のアーケードにある古書店では道路に面してジャズ書が沢山飾られジャズ愛好家の目を惹く。マックス・ローチやハービー・マンなどめずらしい昔のジャズ・コンサートのプログラムも無造作に展示されていて思わず足をとめる人も多い。

古書店の店先
●青梅市Reina at杉並区役所前
中杉通りを南下して青梅街道まで5分ほど歩き杉並区役所前に辿りつくと綺麗なヴァイオリンの音色が耳に飛び込んでくる。パリと日本を往き来して活躍しているヴァイオリニストReinaの演奏。チャーリー・パーカーの<ビリーズ・バウンス>でごきげんにスイングし、チャーミングなパリのエスプリを振りまいている。
29日の杉並区役所前では交流自治体応援ストリートとして様々な催しが開催されており、その一シーンであった。区役所内のティールームからお茶を飲みながらのんびりのぞく人、立ち見で熱心に聴き入る人、みんなが思い思いに楽しめるのが阿佐谷ジャズストリートの良いところ。
杉並区は福島県南相馬市と災害時相互援助協定を結んでいて、これまでにも様々な支援活動を行ってきたと云うがこの催しもその一貫として催されたものだそうである。

杉並区役所前の青梅市Reina(vln)
●ストリートの常連、竹内郁人クインテット
毎年、決まってJR阿佐谷駅北口パサージュ前で演奏していてすっかりパサージュの顔となっているのが竹内郁人クインテット、毎年パサージュ前は行き交う人が立ち止まりクインテットの演奏を楽しんでいる。この日はセロニアス・モンクの<ナッティ>を熱演。このグループ、演奏の傍らでいつも可愛いらしい小さな子供が二人仲良くセッションを楽しんでいるのが微笑ましい。

竹内郁人クインテット
#5.ギラ・ジルカ(vo)featuring矢幅歩(vo) with竹中俊二(g) at 阿佐谷聖ペテロ教会
イスラエル人の父と日本人の母を持ち、バークリー音楽大学でアルトとヴォーカルを学ぶというワイド・レンジなキャリアを持っている神戸出身のギラ・ジルカ(vo)であるが教会で唄うのは初めてとのこと。先ずは竹中俊二(g)とのデュオで登場、1stアルバム『all Me』(Jump World)の冒頭を飾ったボサノバ<ボーイ・フロム・イパネマ>からスタートし<ナイト・アンド・デイ>で軽快にウォーム・アップしたところで矢幅歩(vo)が登場、ツイン・ヴォーカルで<マイ・フェイヴァリット・シングス>などを熱唱。チック・コリアの当たり曲<スペイン>ではギラ・ジルカ、矢幅歩のツイン・ヴォーカルが絶唱、竹中俊二のスパニッシュ風のギター・ソロとあいまって陽気でハピーなムードを醸し出し阿佐谷聖ペテロ教会を熱狂の坩堝と化してしまった。インターバルには<スペイン>の入っているCDを求めるファンがCD売り場に殺到していた。(実は<スペイン>は未だCD化されていない)ぜひ形にして欲しいものである。

矢幅歩(vo) ギラ・ジルカ(vo)
#6.ジャズアート展
こちらも恒例となった杉並区の小学生によるジャズアート展が阿佐谷パールセンターに展示されジャズストリートを訪れる人の目を楽しませてくれる。アーケードに飾られた作品はどれも明るく楽しい作品が連なり、小学生の描く絵には元気な活力と想像力が溢れていて素晴らしい。実際には20数点展示されていて、ここに掲載したアートはそのほんの一部である。

杉並第一小学校

桃井第一小学校

杉並第ニ小学校
#7.阿佐谷ジャズストリート2011
今年の阿佐谷ジャズストリート2011は10月28日(金)、29日(土)の二日間、街じゅうがジャズを楽しむ人々で溢れ成功裏に終わった。ジャズストリートを企画し支えるのは実行委員会で、すべてボランティアで運営されている。第17周年を迎えた今年はジャズでみんな元気にというテーマの下にパブリック、ストリートそしてバラエティの各会場で心浮き立つ楽しい演奏を繰り広げ、まさに元気なジャズで訪れた人を楽しませてくれた。

阿佐谷ジャズストリート2011
望月由美:FM番組の企画・構成・DJと並行し1988年までスイングジャーナル誌、ジャズ・ワールド誌などにレギュラー執筆。 フォトグラファー、音楽プロデューサー。自己のレーベル「Yumi's Alley」主宰。『渋谷 毅/エッセンシャル・エリントン』でSJ誌のジャズ・ディスク大賞<日本ジャズ賞>受賞。
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#900『Samuel Blaser/in Motion』(kind of blue) 悠 雅彦/
#901『北浪良佳/Love Me Tender』(Airplane) 望月由美/
#902『ワルツの革命〜モーツァルト、ランナー&J.シュトラウス1世:ダンス、ワルツ&ポルカ集』(ソニー・クラシカル)大木正純/
#903『ウェス・モンゴメリー/エコーズ・オブ・インディアナ・アヴェニュー』(Resonance/キング・インター)高谷秀司/
#904『『Sara Serpa Quintet/Mobile』(inner circle music)伏谷 佳代/
#905『橋爪亮督グループ/アコースティック・フルード』(クタイルサウンド・レコーズ)多田雅範/
#906『Dan Tepfer/Goldberg Variations/Variations』(Sunnyside Communications) 悠 雅彦/
#907(アーカイヴ篇)『Andreas Schmidt/Hommage à Tristano』(Konnex)|『Pieces for a Husky Puzzle』(Jazzwerkstatt) 伏谷佳代/
#908(アーカイヴ篇)
『Irina Karamarkovic Band/Songs from Kosovo』(GLM Music) 岡島豊樹/
#909(アーカイヴ篇)『Lou Reed|Laurie Anderson|John Zorn/The Stone: Issue Three』(Tzadik) 杉田誠一/
#910『MIZUHO & タイガー大越/Dear DUKE』(House Of Jazz) 稲岡邦弥
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今月の論点:悠々自適 Vol.49 「ライヴ音楽食べある記 VII」悠 雅彦/
JAZZ meets 杉田誠一Vol.82「Morry Burns」/
Reflection of Music Vol.21「高瀬アキ」横井一江/
撮っておきの音楽家たち #40「ビセンテ・アミーゴ」林 喜代種 /
世界音楽紀行(ふみくら)Vol.30「ピンク・マティーニの甘美で艶やかな香り...」G2us高谷秀司/
タガララジオ26「Classic Tracks 140 - 153」Niseko-Rossy Pi-Pikoe/
及川公生の聴きどころチェック #141『クレア・マーティン & ケニー・バロン/トゥー・マッチ・イン・ラヴ・トゥ・ケア』(LINN/東京エムプラス)/
「知名定男さん、引退宣言はまだ早い」本郷 泉/
特別寄稿:「From Russia with Jazz」フランソワ・キャリエール/
新連載:「オスロに学ぶ」田中鮎美
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#103「レオナルド・パブコヴィッチ」 (Moon June レコード主宰) 須藤伸義/
#104「ロベルト・マゾッティ」(フォトグラファー)稲岡邦弥
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#413「パウル・バドゥラ=スコダ/ピアノ・リサイタル」佐伯ふみ/
#414「原田英代連続演奏会 SERIES 作曲家の絆 Vol.1/ボロディン弦楽四重奏団&原田英代」佐伯ふみ/
#415「東京フィルハーモニー交響楽団/第68回東京オペラシティ定期シリーズ/広上淳一/黛敏郎4大傑作」伏谷佳代/
#416「プラハ・フィルハーモニア管弦楽団東京公演」丘山万里子/
#417「東京フィルハーモニー交響楽団第813回オーチャード定期演奏会/山田和樹/小山実稚恵」伏谷佳代/
#418「東京・春・音楽祭 ふたつの《四季》〜ヴィヴァルディ&ピアソラ」
佐伯ふみ/
#419「Jazz & Photo Talk 1961~2012」稲岡邦弥/
#420「坂田明 7 Days@Bitches Brew 白楽/第2夜 坂田明 vs 坂田学」稲岡邦弥
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JapzItaly〜東日本大震災と福島原発事故による被災児童支援のための日伊ジャズ・エイド
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