#  1035

『Kouyate-Neerman/Noirlac』
text by 本郷 泉 Izumi Hongo


No Format! (NOF BS02)

Lansine KOUYATE : Balafon
David NEERMAN : Vibraphone

1. NOIRLAC
2. TOUMBERE
3. BOLOBA
4. MALI SADJO

設立から10年に満たない若いレーベルながら、トラッドに固執せず、ポップスに偏りすぎず、アフリカ音楽の可能性プラスアルファから生み出される良質のサウンドを発信し続けるフランスのレーベル、No Format!。そのNo format! から過去に2枚のアルバムを発表した、マリ人バラフォニスト、ランシネ・クヤテと仏人ビブラフォニスト、デヴィド・ニールマンのデュオによるミニアルバムが昨年末発表された。といっても残念ながら現時点では非売品で、レーベルの年間パス契約をしているお得意様向けの特典用に録音された作品である。
ただし、近い将来フルアルバムとして装いを整えて、マーケットにお目見えする可能性もあるということなので、その実現の日を待ちつつこちらで一足早く紹介させていただこうと思う。

同レーベルからの最初のアルバムは、ドラムやベースも加わった比較的忠実なマリの伝統曲の再現プラス、控えめながら主張あるアレンジが加わった新しい世代のマリ音楽という印象、次のアルバムでは特定のジャンルに縛られない自由かつ未来的なサウンド中心の、若いふたりのフォン奏者の、良い意味でのアグレッシブな意欲を感じさせる内容だった。そして、このアルバムは先の2枚とはずいぶん趣が違う、バラフォンとビブラフォンだけのシンプルな演奏である。結果、収録された4曲は、どれも装飾を徹底的に排し、ある種の緊張感を含んだ、2台のフォンから生み出される素の音の美しさに、まずしばし身を傾けたい。2曲目TOMBEREはセカンド・アルバム『Skyscrapers & Deities』収録曲、3曲目BOLOBAはファースト・アルバム『KANGABA』収録曲のテイク違いで、いずれもランシネ・クヤテの作曲。1曲目NOIRLACはこのミニアルバムのために作られたオリジナル曲。4曲目Mali Sadjoはマリの古い民話がベースになっている有名な伝統曲のアレンジ。

いずれもバラフォンのややくぐもった音に(これは、バラフォンの構造上の特徴である、鍵盤の下に取り付けられた、ひょうたんに蜘蛛の巣を張らせた共鳴装置により生み出される音である)、ビブラフォンの名前の通りビブラートのかかった透明感のある音が被さり、おそらくルーツは同じふたつの楽器の、質感の違う音がテンポよく追っかけあい、重なりあうのを耳でたどってゆくのが気持よい。

このふたりのフォン奏者は今月下旬から3か月間のアフリカ・ツアーに出るそうだ。ほぼアフリカ全土、23か国27ヶ所、ランシネの母国、マリの首都バマコでフィナーレを迎える予定。母国の人たちは、そしてアフリカのひとたちは、伝統をリスペクトしつつ、伝統だけにとらわれない、ふたりの若きマエストロが造りだす新しく美しい音をどう受け止めるだろうか、先々でのリアクションが楽しみだ。(本郷 泉)

No Format!
http://www.noformat.net/

Lansine Kouyate
http://www.lansinekouyate.net/

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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
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