#  1117

『Peter van Huffel’s Gorilla Mask / Bite My Blues』
text by Kayo Fushiya


2014; Cleanfeed CF302CD

Peter van Huffel’s Gorilla Mask ;
Peter van Huffel (alto.sax)
Roland Fidezius (electric bass; effects)
Rudi Fischerlehner (drums; percussion)

1. Chained(8:25)
2. What?(6:21)
3. Skunk(6:35)
4. Bite My Blues(11:41)
5. Broken Flower(6:39)
6. Fast & Flurious(6:24)
7. Z(7:44)
All compositions by Peter van Huffel

Tracks 1,3, 4, 5 &6 recorded live on 2nd July, 2013 @ The Emmet Ray, Tronto
Tacks 2 & 7 recorded live on 3rd July, 2013 @ The Tranzac, Tronto
Recorded & mixed by Patrick McGroarty
Mastered by Fedge
Producer: Peter van Huffel’s Gorilla Mask
Executive Producer: Trem Azul

ジャズにあらずしてジャズ-----複数要素の同時多発的ダイヴ感が爽快

カナダ出身でベルリンを拠点に活躍するリード奏者、ペーター・ヴァン・ハッフェル率いるパワー・トリオ”Gorilla Mask”の最新作。Between the Linesより発売された『Howl!』を聴いて以来2年ぶりに耳にしたが、トリオとしての磁力は更に増し、サウンドも一層タイトになった。もともと音楽の牽引力はグルーヴに帰することを丸ごと体現したようなトリオだが、彼らの音には迷いや逡巡が全くない。ストレートな音の跳躍。それぞれの役割に徹しきり自らの音楽に没入することが、結果として音の凝集力につながっている好例だ。前作でも顕著だったが、本作でもフィデツィウスとフィッシャーレナーによるリズム隊が鉄壁のリフを見せる。前作と比してベースがエレクトリックになりファズワウを多用、ドラムはリムショットが冴えまくる。タフなスタミナは片時も揺るがず、年齢にそぐわぬ不敵さがただよう。冒頭の<Chained>からエナジー全開で、ほとんどノリはメタルだ。ヴァン・ハッフェルのサックスは衒(てら)いなく朗々とのたうち回るが、その音はまぎれもなくフリー・ジャズであるところがポイントか。周囲でかき鳴らされているノイジーなロック調とは迎合しないにもかかわらず、サウンドとしてのまとまりは損なわれない。複数の時空が同時に成立し、そのなかをすり抜けてゆくダイヴ感覚。フリーとはかくありき、と語っているかのようである。例えば、そのアナーキーなグロートーンがベースと絡むときはエレキギターに匹敵する感覚をよび起こすし、限りなくロック寄りだが、いかなるレッテルづけをも拒否する変わり身の早さで回転してゆく。とにかく「吹ける」男なのだ。表題曲<Bite My Blues>ではたっぷり11分にわたる骨太のグルーヴの連鎖。〆の<Z>は前作にも収められた1曲で、ライヴでは定番と化しているのか、オーディエンスの食いつきのよさが空気として伝わってくる。感覚的な気持ちよさにまでジャズのイディオムを徹底して還元しつつも、決してそこから離れはしない野太き追求力。昨年のカナダツアーでのライヴ録音を収録。(伏谷佳代)

【関連サイト】
http://www.petervanhuffel.com/
http://www.rolandfidezius.de/
http://rudifischerlehner.net/

【関連レヴュー】
http://www.jazztokyo.com/five/five951.html

伏谷佳代 Kayo Fushiya
1975年仙台市生まれ。早稲田大学卒。現在、多国語翻通訳/美術品取扱業。欧州滞在時にジャズを中心とした多くの音楽シーンに親しむ。趣味は言語習得にからめての異文化音楽探求。
JazzTokyo誌ではこれまでに先鋭ジャズの新譜紹介のほか、鍵盤楽器を中心にジャンルによらず多くのライヴ・レポートを執筆。

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