#  1130

『Ryan Keberle & Catharsis / Into The Zone』
text & photos by Takehiko Tokiwa
photos: August 2, 2014@ The Jazz Gallery, NYC


Greenleaf Music
2014 Greenleaf Music GRE-CD-1040

Ryan Keberle (tb,melodica)
Mike Rodoriguez (tp)
Jorge Roeder (b, bass FX)
Eric Doob (ds)

Special Guest
Camila Meza (vo)
Scott Robinson (ts)

1.Inevitable Blues
2.Gallop
3.Ballad Of The Sad Young Men
4.Without A Thought
5.Simple Sermon
6.Cheryl
7.Easy To Love
8.Zone

Recorded by Chris Allen at Sear Sound NYC, January 15 & 16. 2014
Produced by Ryan Keberle

現代ニューヨーク・ビッグバンド・シーンの逸材ライアン・ケパール率いる“カタルシス”のスタジオ第2作

マリア・シュナイダー・オーケストラ、ギル・エヴァンス・プロジェクトの中枢メンバーであり、アルゼンチン出身のエミリオ・ソラ(p)や、ペドロ・ジラウド(b)のラテン系 オーケストラでも活躍する若手トロンボーン・プレイヤー、ライアン・ケバールは現代ニューヨーク・ビッグバンド・シーンに欠くことのできない逸材である。穐吉敏子オーケストラや、マリア・シュナイダー・オーケストラで数度の来日公演も果たしている。自らも、ベイシー、サド&メル、エリントン・オーケストラに在籍した伝説的メンバーを結集した The Big Band Living Legacy Projectを立ち上げ、往年の名曲、素晴らしいアレンジメントを現代に甦らせている。
ケバールが2年前から取り組んでいるコンボが、カタルシスである。本作はスタジオ録音での2作目であり、タイトル『Into The Zone』の『The Zone』とは、ケバールが傾倒している禅宗の修行の果てに辿り 着く無我の境地を指すと、自ら語っている。レギュラー・メンバーは、マイケル・ロドリゲス(tp)との2管に、ホルヘ・ローダー(b)、エリック・ドーブ(ds)でコード楽器が不在だが、ベース・ラインとトロンボーン&トランペットで、シンプルでありながらスペースを感じさせるハーモニーを紡いでいる。今回は、ゲストにヴォーカルの新星カミーラ・メザ(本来はギタリストだが、本作ではヴォーカルに専念)と、スコット・ロビンソン(ts)を迎え、アンサンブルが進化した。ジャズとアメリカン・ミュージックのルーツであるブルースに真摯に取り組んだ1&6、ラテン系ビッグバンドでの演奏経験にインスパイアされた2、ギル・エヴァンスのアレンジからヒントを得た3、お気に入りのスタンダードに満を持して取り組んだ8、日々のウォーム・アップ・フレーズが発展した4、そして現在の自らの最高到達点と語る6&8と、オリジナル、スタンダードが絶妙のバランスで、ブレンドされている。ジュリアード音楽院のジャズ科出身で、卒業直後からニューヨーク・ジャズ・シーンの第一線で活躍し、共演者から受けた刺激のエッセンスが凝縮された一作といえよう。絞り込んだアレンジのスペースの中に、壮大なアンサンブルが聴こえてくるような錯覚にとらわれる。次回作、そしていずれは取り組むであろうビッグバンド作品も、大いに期待される。(常盤武彦)

ライアン・ケバール マイク・ロドリゲス
ホルヘ・ローダー エリック・ドーブ カミーラ・メザ

常盤武彦 Takehiko Tokiwa
1965年横浜市出身。慶應義塾大学を経て、1988年渡米。ニューヨーク大学ティッシュ・スクール・オブ・ジ・アート(芸術学部)フォトグラフィ専攻に留学。同校卒業後、ニューヨークを拠点に、音楽を中心とした、撮影、執筆活動を展開し、現在に至る。著書に、「ジャズでめぐるニューヨーク」(角川oneテーマ21、2006)、「ニューヨーク アウトドアコンサートの楽しみ」(産業編集センター、2010)がある。

WEB shoppingJT jungle tomato

FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


Copyright (C) 2004-2015 JAZZTOKYO.
ALL RIGHTS RESERVED.