#  1189

『Steve Gadd Band/70 Strong』
『スティーヴ・ガッド・バンド/70 ストロング』
text by Hideo Kanno


Columbia - Savoy/日本コロムビア COCB-54149
2015年3月4日 日本先行発売
2015年3月17日 アメリカ発売

Steve Gadd (ds)
Walt Fawler (tp, flgh)
Larry Goldings (p, Hammond B3, Fender Rhodes, Wurlitzer, accordion 他)
Jimmy Johnson (b)
Michael Landau (g)

1. Foam Home (Steve Gadd, Larry Goldings, Michael Landau, Jimmy Johnson & Walt Fawler)
2. Freedom Jazz Dance (Eddie Harris)
3. Written In Stone (Larry Goldings)
4. The Long Way Home (Michael Landau)
5. Sly Boots (Larry Goldings)
6. Duke's Anthem (Walt Fowler)
7. Elegant Squares (Larry Goldings)
8. Desu (Jimmy Johnson)
9. De Volta Ao Samba (Chico Buarque)
10. Oh,Yeah? (Jan Hammer & Fernando Lamas Saunders)
11. Blues For ... (Michael Landau)

Produced by Steve Gadd
Recorded by Dennis Moody at Unconscious Studios, Pacific Palisades, CA on April 3-9, 2014

 スティーヴ・ガッドは1945年4月9日、第二次大戦終結直前にニューヨーク州ロチェスター郊外に生まれた。吹奏楽や陸軍バンドも経ながら活躍し、1976年に結成した「スタッフ」で人気を不動のものにし、ファーストコールのドラマーとしてジャズからロックまで驚異的な数のセッションに参加しながら音楽の歴史を作ってきたことはご存知の通りだ。そして今年70歳の古希を迎えるのを記念してリリースされた『70 Strong』。2013 年の前作『Gadditude』から1年半を経て昨年4月に録音された。メンバーは前作と同じで、ジェームス・テイラーのツアーを長く共にするメンバーだが、そんな説明を超えて、現在スティーヴが最も信頼する音楽仲間たちだ。
 「今年、私は70歳になるけど。ほら、楽しいときには速く時間が過ぎるよね」。このフレーズはミュージシャンが歳を重ねることをポジティブに受け止める素敵な言葉だ。「彼らは信じられないくらい素晴らしいミュージシャンで、何でもできるし、今回のアルバムにも多様な曲が収められている。私はすごく気に入っているし、みんなも気に入ると思うよ」。伝説の巨匠スティーヴの有難い新作と言うよりも、仲間たちと気さくに今を楽しみながら生まれた、暖かくてクールなグルーヴとサウンドを届けてもらう感じだ。
 メンバーによる新曲をメインにしつつ、3つのカヴァー曲が演奏される。<Freedom Jazz Dance>は、エディ・ハリス作曲だが『Miles Davis/Miles Smiles』の演奏が有名だろう。ウェイン、ハービー、ロン、トニーのクインテット。今回もマイルス色は強いのだが、最大の違いはスティーヴがブラシを使うことによって、かえって他の楽器の尖り方や立体感が強調される点であり、聞き応えがある。なお、時代を経て聴き比べてみると、エディ・ハリスのオリジナルヴァージョンが、マイルスに比べてもかえって新鮮に聴こえたことをつけ加えておこう。<Oh, Yeah!>は、ヤン・ハマーの『Oh, Yeah!』でのスピード感があるエレクトリックな演奏に比べ、ゆったりしたテンポの中でよりファンキーに響き、トランペットとギターの音が異質感を持ちながらユニゾンで演奏される。<De Volta Ao Samba>は、ブラジルのシンガーソングライターであるシコ・ブアルキの曲。
 他方、メンバーの新曲の中では、ラリーの<Written In Stone>ではアコーディオンが哀愁を感じさせる。<Duke’s Anthem>は、ウォルト作曲によるジョージ・デュークに捧げたバラードでラリーがハモンドB3を弾き、ウォルトのフリューゲルが切なく歌う。<Sly Boots>ではスティーヴの多彩で表現力豊かなソロが光る。その他の曲も歌心に溢れた演奏でアルバムの最初から最後までじっくりと聴かせる。
 スティーヴ・ガッド・バンドの2013年10月の来日公演も素晴らしかったが、新アルバムの魅力的な曲を演奏する来日を期待したい。2015年に入ってからは、1月にロサンゼルス・ハリウッドのカタリナ・ジャズ・クラブでライブを行い、続いて3月〜4月はジェームス・テイラーのツアーが続いている。次回の来日でもスティーヴと仲間たちの暖かい人柄に裏打ちされた至福の一時を共にできることが楽しみでならない。(神野秀雄)

【関連リンク】
Pledge Music - 70 Strong
http://www.pledgemusic.com/projects/stevegaddband2
スティーヴ・ガッド公式ウェブサイト http://www.drstevegadd.com
ラリー・ゴールディングス公式ウェブサイト http://www.larrygoldings.com
マイケル・ランドウ公式ウェブサイト http://www.mikelandau.com
ウォルト・ファウラー公式ウェブサイト http://waltfowler.com/
ジェームス・テイラー公式ウェブサイト http://www.jamestaylor.com

【JT関連リンク】
『スティーヴ・ガッド・バンド/ガッドの流儀』
http://www.jazztokyo.com/five/five1027.html
スティーヴ・ガッド・バンド 2013年10月10〜11日 ブルーノート東京
http://www.jazztokyo.com/live_report/report594.html
ボブ・ジェームス&デヴィッド・サンボーン featuring スティーヴ・ガッド&ジェームス・ジーナス
http://www.jazztokyo.com/live_report/report577.html
東京JAZZ 2013 What Music Can Do/Jazz Heritage
http://www.jazztokyo.com/live_report/report581.html
ウィル・リー・ファミリー 2013年12月4日 コットンクラブ東京
http://www.jazztokyo.com/live_report/report622.html

Gadditude (BFM Jazz) Trio Beyond / Saudades(ECM1972)  

神野秀雄 Hideo Kanno
福島県出身。東京大学理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。保原中学校吹奏楽部でサックスを始め、福島高校ジャズ研から東京大学ジャズ研へ。『キース・ジャレット/マイ・ソング』を中学で聴いて以来のECMファン。東京JAZZ 2014で、マイク・スターン、ランディ・ブレッカーとの”共演”を果たしたらしい。

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