#  1205

『ブルックナー:交響曲第0番 ニ短調 WAB.100』
text by Satoshi Fujiwara


DENON(日本コロムビア) COGQ-75 ¥3,000+税

演奏:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)読売日本交響楽団

曲目:ブルックナー/交響曲第0番 ニ短調 WAB.100

録音:2014年10月8日、東京芸術劇場でのライヴ
プロデューサー:馬場敬

2014年10月8日、東京芸術劇場でのライヴ収録(SACDハイブリッド。美しい録音である)。筆者はこの翌日のサントリーホール公演を聴いたのだが、そのあまりにエネルギッシュな快演に仰天した記憶が蘇る。当盤でもその印象は変わらない。まずスクロヴァチェフスキで驚くのが、キビキビして全く弛緩することのないテンポの維持と造形力、各声部の見事な彫琢力であろう。これがあるので常に響きが明快で曖昧模糊とする箇所が全く存在しない。このブルックナーの0番においてもまた然り。聴くたびに「妙な曲」との印象が拭えず、試演時にデゾフから「第1主題はどこにあるのか?」と言われたという取りとめのない印象をどうしても与える第1楽章がまるで散漫にならない(その意味ではこの指揮者の旧録音すら凌ぐ)。そしてティンパニの猛烈な強打による劇的な終結部の迫力が凄まじい。第2楽章では「ミスターS」が演奏するブルックナーの緩徐楽章に共通する素晴らしく共感のこもった「歌」を聴くことができる。スケルツォと終楽章の緊迫感も見事の一語で、総合的に見て恐らく当曲のベスト盤を争う演奏ではないか。それにしても、ただでさえ特筆大書されるこの名演を成し遂げたのが齢91の老指揮者との事実に改めて驚いてしまう。冒頭で触れたサントリーホール公演では、全て暗譜で、かつ立ったまま(後半のベートーヴェン:第7も)振り通した。足元も依然矍鑠たるもの。いやはや超人である。(藤原聡)

編集部註:「ミスターS」はスクロヴァチェフスキのニックネーム

藤原聡 Satoshi Fujiwara
代官山蔦屋書店の音楽フロアにて主にクラシックCDの仕入れ、販促を担当。クラシック以外ではジャズとボサノヴァを好む。音楽以外では映画、読書、アート全般が好物。休日は可能な限りコンサート、ライヴ、映画館や美術館通いにいそしむ日々。

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