#  1240

『Charenee Wade / Offering The Music of Gil Scott-Heron and Brian Jackson』
text & photos by 常盤武彦 Takehiko Tokiwa


motéma music MTA-CD-149

Charenee Wade (vo,arr)
Brandon McCune (p)
Dave Stryker (g)
Lonnie Plaxico (b)
Alvester Garnett (ds)
Stefon Harris (vib,1,2,4,8,9,10)
Lakecia Benjamin (as,6)
Malcom-Jamal Warner (spoken word),6
Marcus Miller (b-cl,6)
Chritian McBride (spoken word,9)

1. Offering
2. Song of the Wind
3. A Toast to the People
4. Home Is Where the Hatred Is
5. Ain't No Such Thing As Superman
6. Ain't No Such Thing As Superman
7. Western Sunrise
8. The Vulture (Your Soul and Mine)
9. Peace Go With You Brother (Intro)
10. Peace Go With You Brother (feat. Stefon Harris)
11. I Think I'll Call It Morning

Recorded by Rob Macomber at Varis Leichman Studio, Jazz at Lincoln Center, NYC on July 16~18, 2013)
Produced by Mark Ruffin.

完成度の高いスコット・ヘロン カヴァー作。現代にも力強く響く社会的矛盾へのメッセージ

2013年のセシル・マクローリン・サルヴァント(vo)のメジャー・デビューを皮切りに、サラ・ヴォーン(vo)、エラ・フィッツジェラルド(vo)、ベティ・カーター(vo)の系譜を継ぐシンガーが、再び台頭し始めた。本作のヒロイン、チャレネー・ウェイド(vo)もその一人で、満を持してのメジャー・デビューにして、1970年代から数々のポリティカル・ソングを発表したギル・スコット=ヘロンをカヴァーに挑む、完成度の高い作品をリリースした。ウェイドは、若手ジャズ・アーティストの登竜門のセロニアス・モンク・コンペティションに2回挑戦し、2010年にマクローリン・サラヴァントと高いレベルで競り合い次点となり、広く知られるようになったシンガーだ。1970年代から、歌、スポークン・ワードで、ジャズ、ソウル、ファンク、ブルースが混在するスタイルで、独自の視点でアメリカの社会を描き、2011年に逝去したギル・スコット=ヘロンは、1980年代以降のラップ、ヒップホップにも大きな影響を与えた、アフロ・アメリカン・カルチャーの重要人物だ。スコット=ヘロンの晩年の片腕だったマーク・ルフィンをプロデューサーに迎え、アーティスト・ファンド・レイジングのキックスターターで、制作資金を募って本作は完成した。シカゴ出身のピアニスト、ブランドン・マックーンと、90年代にカサンドラ・ウィルソン(vo)のサウンドを支えたロニー・プラキシコ(b)が、バンドの核となり、ステフォン・ハリス(vib)がスパイスを効かせる、アコースティック・ジャズ・ファンクといえるサウンドを構築した。スポークン・ワードは、俳優であり、またロバート・グラスパー(kb,p)の<Jesus Children>(『Black radio 2』に収録)に参加して2015年のグラミー賞ベスト・R&Bパフォーマンスに輝く、マルコム=ジャマル・ワーナーと、クリスチャン・マクブライドがシャウトする。マーカス・ミラーもバス・クラリネットで参加し、サウンドに深みを醸し出している。リリース・ライヴでは、レコーディング・メンバーからは、マックーンと、アルヴェスター・ガーネット(ds)、レケシア・ベンジャミン(as)らが参加。マーク・ホイットフィールド(g)、ニカラ・ウォーレン(vib)と共に、タイトなバンド・サウンドを聴かせてくれた。
かつてスコット=ヘロンが糾弾した社会的矛盾へのメッセージは、現代にも力強く響く。

関連リンク
Charenee Wade http://www.chareneewade.com/

チャレネー・ウェイド・グループ チャレネー・ウェイド(vo) ブランドン・マックーン(p)
ロニー・プラキシコ(b) レケシア・ベンジャミン(as) マーク・ホイットフィールド(g)
ニカラ・ウォーレン(vib) チャレネー・ウェイド(vo) アルヴェスター・ガーネット(ds)

* 写真は2015年7月8日ジャズ・スタンダードNYCに於いて。

常盤武彦 Takehiko Tokiwa
1965年横浜市出身。慶應義塾大学を経て、1988年渡米。ニューヨーク大学ティッシュ・スクール・オブ・ジ・アート(芸術学部)フォトグラフィ専攻に留学。同校卒業後、ニューヨークを拠点に、音楽を中心とした、撮影、執筆活動を展開し、現在に至る。著書に、『ジャズでめぐるニューヨーク』(角川oneテーマ21、2006)、『ニューヨーク アウトドアコンサートの楽しみ』(産業編集センター、2010)がある。

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