#  1278

『David Gilmore / Energies Of Change』
text & photo by Takehiko Tokiwa 常盤武彦


Evolutionary Music EVMU002

David Gilmore (g)
Marcus Strickland (ts,as,ss,b-cl)
Luis Perdomo (p)
Ben Williams (b)
Antonio Sanchez (ds)
Kofo Wanda (talking drum, 3)

1. Energies Of Change
2. Rajas Guna
3. Dance Of Duality
4. The Seeker
5. Sacred Pause
6. Over Shadow Hill Way
7. Awakening
8. Revelations
9. Trick Of I

Recorded by Dae Bennet @Benett Studios, Englewood NJ on Dec. 19 & 20, 2010 and additional recording by John Davis at Bunker studios, Brooklyn NY on Nov. 19, 2012.
Produced by David Gilmore

「リズムは自らの音楽の大きな要素を占める」デイヴィッド・ギルモア

90年代初頭から、スティーヴ・コールマン(as)率いるファイヴ・エレメンツや、ウェイン・ショーター(ts,ss)グループで活躍したデイヴィッド・ギルモアは、リーダーとしても数々の意欲作をリリースしてきた。本アルバムは、長年音楽活動を共にするマーカス・ストリックランド(ts,as,ss,b-cl)、ルイス・ペルドモ(p)、ベン・ウィリアムス(b)に、共演を熱望してきたアントニオ・サンチェス(ds)を加えたメンバーで2010年にジャズ・ギャラリーに出演したことがきっかけだった。そのサウンド・ケミストリーに魅せられたギルモアは、ほぼ1年後、同メンバーをスタジオに集め、レコーディングを敢行した。2日間のレコーディングの後、いくつかの曲を追加したかったのだが、このファースト・コール・メンバーが再び集結するのには、2年の時間が必要だった。
『Energies of Change』とは、個人と宇宙レベルで、物事の本質とは深いところに隠れていると言う事象を象徴したタイトルだそうだ。7曲のオリジナル・チューンと、ウェイン・ショーター・グループ在籍時のレパートリーの、ケニー・カークランド(p)のオリジナル・バラードで構成され、激しくも優美なインタープレイが展開される。
オープニングのからのシークエンスは、ギルモアが、やっと築き上げた理想のバンド・サウンドとの自負を納得させてくれる、エナジーとテンションに満ちている。ゲストのカフォ・ワンダ(per)のトーキング・ドラムにメロディが導き出されるは、トリッキーなリズムに乗って猛者達が次々と熱いインプロヴィゼーションを展開した。「リズムは自らの音楽の大きな要素を占める」とギルモアは語る。重厚なリズムのは、アーティスト達の創造力の内的宇宙へと誘う。<Over Shadow Hill Way>は、ギルモアがショーターから学んだ音楽の深みが垣間見え、では、ギルモアはアコースティック・ギターを奏で、カークランドのリリシズムを再現する。オリジナルのブランフォード・マーサリス(ts,ss)のソロに、ストリックランドが肉薄する。エンディングのは、オープニング・チューンがリプライズしたような、アグレッシヴなチューンだ。このグループがto be continuedであることを高らかに宣言しているかのようである。
リチャード・ボナが2015年の9月にオープンしたヴェニュー、Club Bonafideでのギグも満員の大盛況だった。ドラムスは、サンチェスに替わり、デイヴ・ダグラス(tp)らのグループで活躍するルディ・ロイストン。また新たなサウンド・ケミストリーが起き、バンドを強力にプッシュする。このグループ・サウンドのさらなる進化を見届けたい。

関連リンク
David Gilmore http://www.davidgilmore.net
Club Bonafide http://clubbonafide.com

写真はDavid Gilmore Band@Bonafide、2015年12月18日撮影。

常盤武彦 Takehiko Tokiwa
1965年横浜市出身。慶應義塾大学を経て、1988年渡米。ニューヨーク大学ティッシュ・スクール・オブ・ジ・アート(芸術学部)フォトグラフィ専攻に留学。同校卒業後、ニューヨークを拠点に、音楽を中心とした、撮影、執筆活動を展開し、現在に至る。著書に、『ジャズでめぐるニューヨーク』(角川oneテーマ21、2006)、『ニューヨーク アウトドアコンサートの楽しみ』(産業編集センター、2010)がある。

WEB shoppingJT jungle tomato

FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


Copyright (C) 2004-2015 JAZZTOKYO.
ALL RIGHTS RESERVED.