#  832

『ソニー・ロリンズ/ロード・ショウズ Vol.2』
text by 稲岡邦弥


Doxy/Emarcy/ユニバーサル
UCCM-1205
2,800円(税込)

ソニー・ロリンズ(ts, except 2)
ボブ・クランショウ(b, on 1/6)
ラッセル・マローン(g, on 1/6)
コービー・ワトキンス(ds, on 1/6)
サミー・フィゲロア(perc, on 1/6)

クリスチャン・マクブライド(b, except 1/6)
ロイ・ヘインズ(ds, except 1/6)
ゲスト:
オーネット・コールマン(as, on 3)
ジム・ホール(g, on 2)
ロイ・ハーグローヴ(tp, on 4)

1. ゼイ・セイ・イッツ・ワンダフル
2. インナ・センチメンタル・ムード
3. ソニームーン・フォー・トゥー
4. 言い出しかねて
5. レインチェック
6. セント・トーマス

録音:
#2〜5:2010年9月10日 生誕80年記念コンサート@ビーコン・シアター NYC
#1/6:2010年10月 ジャパン・ツアー2010・ライヴ収録

ジャズの“生ける伝説”たちが身をもって示したジャズの醍醐味

1980年から2007年までのライヴ・アーカイヴから7曲を選りすぐった『ロード・ショウズ Vol.1』(2008年発売)に続く第2集。本作は、昨年9月にNYビーコン・シアターで行われたロリンズ(日本のジャズ・ファンの間では“ローリン”と愛称されている)の生誕80年記念コンサートからの4曲を中心に前後をその翌月に日本で行われたツアーからの2曲でサンドイッチするという趣向。生誕80年記念コンサートには、ドラムスにロイ・ヘインズ(1925~)を据え、ジム・ホール(1930~)やオーネット・コールマン(1930~)をゲストに迎える、という“巨人”ロリンズ(1930~)ならではの豪華布陣。いわばジャズの“生ける伝説”たちが身をもって示したジャズの醍醐味である。
オープナーでいきなりロリンズがあの独特の野太いトーンでイントロを吹き始めると、今から展開される「ロリンズの世界」を期待し胸が躍る。音の艶やキレにいささか不安がよぎるがギターとのチェイスあたりになると素早いフィンガリングにも冴えを見せ不安は杞憂と消える。2曲目の<インナ・センチメンタル・ムード>からは“記念コンサート”から4曲が続くが、まず、ジム・ホールが露を払う。わずか数分の演奏だがジムの柔らかなトーンと多彩で丁寧なコードワークが独特の雰囲気を醸し出す。続くロリンズの口上が素晴らしい。ジャズこそ“ワールド・ミュージック”であり、“King of all Music”、“すべての音楽の傘”である。一生をジャズに捧げてきたロリンズにして初めて説得力を持つ。
例によってアタマからいきなりテーマを吹き出すロリンズ作のブルース<ソニームーン・フォー・トゥー>。ソロを中断したロリンズがトークを始める。「ところで、今日、誰かが僕にステージで“ハッピー・バースデー”を伝えてくれるらしいんだ。しかもホーンを提げてね。そろそろ登場してくれるんじゃないかな」。
....ソロを再開して数分後、会場が沸き立つ。ロリンズがテーマを吹いて迎える。下手(しもて)から聴こえてくるエッジの効いたアルトの音。独特のフレージング。オーネット・コールマンの登場である!見え隠れしていたフレーズがソロのエンディングで賛美歌であることが確認される。セレモニーでよく歌われる賛美歌(#312) だがオーネットにとってはゴスペルなのだろう。締めのテーマでロリンズに寄り添おうと音を探すオーネット。ロリンズに対するオーネットの心情が溢れ感動的。大昔、並んで練習をしていた仲とはいえ、公開の場での二人の共演を誰が想像し得ただろうか。
ハーグローブがミュートでフィーチャーされる<言い出しかねて>でもロリンズのソロは往時を彷彿させるほどの素晴らしい出来。<レインチェック>からトレードマークの<セント・トーマス>。「ありがとうございました。感謝します」。スタンディング・オヴェイションの日本の聴衆を前にショウの幕は閉じられる。
久々に心からジャズを楽しみ、ジャズに感動したひとときであった。(稲岡邦弥)

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