#  835

『クニ三上/ハンプス・ブギ〜ライオネル・ハンプトン』
text by 稲岡邦弥


9245 Records/バウンディ
2,800円

クニ三上(p)
クリスチャン・フェビアン(b)
デヴィッド・ギブソン(ds)
クラレンス・バンクス(tb)
マイケル・ハシム(sax)

1. オパス・ワン
2. ザ・ムーチ
3. ユー・ベター・ゴー・ナウ
4. フライング・ホーム
5. ムーンライト・セレナーデ
6. 真珠の首飾り
7. ウォーム・ヴァレー
8. シャイニー・ストッキングス
9. ハンプス・ブギ
10. イン・ザ・ムード

録音:M.P.Kuo@Uptime Studio, NY, 2011.4.11
プロデューサー:クニ三上

強烈にスゥイングするので運転中は聴かないでください!

CDの帯に「強烈にスゥイングするので運転中は聴かないでください!」と但し書きがある。NYを拠点に活躍するクニ三上の新作。たいした自信だが、看板に偽りはない。オープナーの<オパス・ワン>。三上が1991年から2002年に94才で亡くなるまで専属ピアニストとして仕えたライオネル・ハンプトン楽団の定番のひとつ。ベースはハンプトン楽団の僚友クリスチャン・フェビアン、ドラムスはカウント・ベイシー楽団やイリノイ・ジャケー楽団で活躍したデヴィッド・ギブソンとそれぞれビッグバンドOBなのだが、なかで一番強烈にドライヴしているのが三上自身。三上は5,6年前から毎年2回ずつ全国ツアーを敢行しているのでそのドライヴ(スゥイングを超えてドライヴと表現する方が相応しいかも)するピアノに触れたファンは多いことだろう。ハンプのナンバーからは他に、<ハンプス・ブギ><フライング・ホーム><真珠の首飾り>。どの曲もハンプのスピリットが乗り移ったかのように快適にスゥイングする。このアルバムはハンプに捧げられているのだが、三上がピアニストとして来日経験のあるデューク・エリントン(<ザ・ムーチ>、<ウォーム・ヴァレー>を始め、カウント・ベイシー(先日亡くなったフランク・フォスターの名曲<シャイニー・ストッキングス>)、グレン・ミラー(<イン・ザ・ムード>)、トミー・ドーシー(<ムーンライト・セレナード>)とお馴染みのビッグバンドの定番で構成されている。演奏は、クインテット、カルテット、トリオと曲により編成が変わるのだが、共通するのは強烈なスゥイング感。なかで、一瞬、ハッとするのは、<ムーンライト・セレナーデ>。種明かしはヤボかもしれないが、<フライング・ホーム>で強烈にジャンプさせたあと、三上がスーツに身を正し、やおらベートーヴェンの<月光ソナタ>を引き出すくだり。ベイシー楽団在籍17年のクラレンス・バンクス(tb)、エリントン楽団のマイケル・ハシム(sax)共にツボを心得た演奏で楽しませる。<ユー・ベター・ゴー・ナウ>のミュートを使ったバンクスのボントロはどこかビリー・ホリデイを彷彿させるし(裏でむせぶハシムのサックスはレスター・ヤングか)、<ウォーム・ヴァレー>で聴かせるハシムのソロにビリー・ストレイホーンを偲ぶファンも多いことだろう。“ジャズはエンターテインメント”というハンプの信念を受け継ぐクニ三上の真骨頂を地で行く快作。今頃、ツアーで元気に全国巡演中のはず。(稲岡邦弥)
*ツアー・スケジュールについてはニュースの項を参照。

WEB shoppingJT jungle tomato

FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.25 '15

FIVE by FIVE
#1166『Mike Nock Octet/Suite Sima』(FWM)悠雅彦| #1167『Dave Douglas & Uri Caine/Present Joys』(Greenleaf Music Inc.)常磐武彦| #1168『Medeski Scofield Martin & Wood/Juice』(INDIRECTO RECORD)常磐武彦| #1169『カーリン・クローグ+スティーヴ・キューン/ふたりの夜明け』(ENJA/MUZAK)悠雅彦| #1170『チコ本田/ライヴ アット ラブリー バラッドナイト』(KUKU LABEL)望月由美| #1171『Konstrukt & Marshall Allen/Live At Sant'Anna Arresi Jazz Festival』(8mm Records)剛田武| #1172『カール・ベーム ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73、モーツァルト:交響曲第28番ハ長調K.200/189k、ピアノ協奏曲第27番変ロ長調K.595』(TESTAMENT)藤原聡| #1173『Rhodri Davies & John Butcher/Routing Lynn』(ftarri)細田成嗣| #1174『キース・ジャレット・トリオ/ハンブルク‘72』(ECM/ユニバーサル・ミュージック)多田雅範| #1175『Kenny Wheeler/Songs for Quintet』(ECM)神野秀雄

COLUMN
特別寄稿「本当は寛容なイスラム」松浦茂長(在パリ)| 連載フォト・エッセイ:Reflection of Music 37「レスター・ボウイ」横井一江| 撮っておきの音楽家たち #99「アレクセイ・リュビモフ」(ピアニスト)林喜代種| 撮っておきの音楽家たち #100「パーヴォ・ヤルヴィ」(指揮者)林喜代種| カンザスシティの人と音楽 #41「カンザスシティ・ロイヤルズとカンザスシティ・シンフォニー・ディレクター、マイケル・スターン」竹村洋子| Live Evil:稲岡邦弥010「Ky Japan Tour 2014『生きるという営み』」| 011「Mike Nock Trio」| 012「織茂サブ/地無し尺八ソロライヴ」| 及川公生の聴きどころチェック #213『テディ・ウィルソン+北村英治/テディ・ミーツ・エイジ』(ユニバーサルD/ユニバーサル)| #214『キース・ジャレット・トリオ/ハンブルク‘72』(ECM/ユニバーサル・ミュージック)| 連載エッセイ:オスロに学ぶ Vol.25「オスロに戻る」田中鮎美

INTERVIEW
#132「カーリン・クログ」(vocal) 小橋敦子

GALLERY
#31『レインボー・ロータス〜A Big Hand for Hanshin』 稲岡邦弥

CONCERT/LIVE REPORT
#760「モーリス・ベジャール振付ベートーヴェン『第9交響曲』」林喜代種| #761「《歌曲(リート)の森》 〜詩と音楽 Gedichte und Musik〜 第15篇 ナタリー・シュトゥッツマン(コントラルト) フランス歌曲の夜」藤堂清| #762「上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト feat.アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップス『ALIVE』日本ツアー2014」剛田武| #763「上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト feat.アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップス『ALIVE』日本ツアー2014」神野秀雄| #764「パーヴォ・ヤルヴィ指揮 ドイツ・カンマー・フィルハーモニー管弦楽団演奏会「ブラームス・シンフォニック・クロノロジー」佐伯ふみ| #765「岡田博美ピアノ・リサイタル2014」丘山万里子| #766「日本舞踊 × オーケストラ Vol.2」悠雅彦| #767「日本舞踊 × オーケストラ Vol.2」林喜代種| #768「ピアニスト園田高弘没後10年を偲んで Vol.2 高橋礼恵ピアノ・リサイタル」佐伯ふみ| #769「紫桐会秋の演奏会(第32回)」悠雅彦| #770「ゴーティエ・カプソン&ユジャ・ワン第2夜」藤原聡| #771「ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラdirected byエリック・ミヤシロ, スペシャルゲスト:リチャード・ボナ」神野秀雄| #772「故副島輝人さんを偲ぶ会」横井一江

Copyright (C) 2004-2015 JAZZTOKYO.
ALL RIGHTS RESERVED.