#  847

『ヴァンガード・ジャズ・オーケストラ/フォーエヴァー・ラスティング〜ライヴ・イン・トーキョー』
text by 悠 雅彦


Planet Arts/ポニー・キャニオン
3,000円

Disc 1:
1. ロウ・ダウン
2. ユー・テル・ミー
3. シックスティ・ファースト・アンド・リッチ・イット
4. ワン・フィンガー・スナップ
5. アイ・ラヴ・ユー
6. エクストラ・クレジット
7. セントラル・パーク・ノース
Disc 2:
1. オール・オヴ・ミー
2. ドント・エヴァー・リーヴ・ミー
3. ナスティ・ダンス
4. ハードリー・エヴァー
5. リトル・ラスカル・オン・ア・ロック
6. フィンガーズ
7. フォーエヴァー・ラスティング

2010年11月26、27日 東京・六本木「ビルボード」にてライヴ録音

 前作『Monday Night at Village Vanguard』がグラミー賞受賞作品となったこともあって、ヴァンガード・ジャズ・オーケストラ(VJO)への注目度が高まっているのはバンドにとってもファンにとっても慶賀すべきことだろう。折りしも来たる12月の来演も決定した。来日演奏はバンドの年中行事らしく毎年のように来演しているが、本作は昨年の「ビルボード」における来日公演2夜の演奏からピックアップしたベスト演奏集。一昨年12月のブルーノート公演を聴いたときの率直な印象は、アンサンブルの卓抜さとサド=メル楽団の伝統を継承するモダンなスウィング性の正統的ニュアンスに彩られた迫力だったが、この2枚組はライヴだけに会場と一体となったノリのいい気持よさが加わってすこぶる印象深い。
 独断を許してもらえば、サド=メル楽団の魅力の第一は故サド・ジョーンズのオーケストレーションと軽妙で粋な指揮ぶり。いかに取っつきにくいサウンドでも、殻の堅そうな山の木の実を思わせる作品でも、サドが指揮をとるとたちまち魅力的な楽曲と演奏に早変わりする。それがたまらなく魅力的だった。このライヴを聴き通して私は、冗談が好きで軽口を発しては周囲に笑顔を振りまいていた生前の彼のことばかりを頭に思い浮かべていた。この2枚組には彼の作編曲作品が14曲中9曲も含まれており、VJOにとって彼の作品がいかに大切な遺産であるかがストレートに伝わってくる。決して馴染み深いミュージシャンが何人もいるわけではないし、彼らのソロにしてもそれらすべてが第一級というのでもない。だが、サドのスコアを読み込んで呼吸を合わせて至難なフレーズに命を吹き込む高度なアンサンブル能力は傾聴に値する。ソロで目をみはったのはベースのデイヴィッド・ウォン。堅実でスケールが豊か。Disc 1の#3、Disc 2の#5と#6などどれも注目すべし。
 嬉しかったのは3曲の作編曲でジム・マクニーリーと再会したこと。彼はかれこれ35年ほど前にテッド・カーソンのリーダー作をプロデュースしたときのピアニストだった。また、90年代にベース奏者の中山英二率いるNYクヮルテットの1員だったサックス奏者ディック・オーツのプレイと再び出会えたことも。なお、Disc 2の#5の1曲ではピアノの宮嶋みぎわがソロのスペースを与えられている。(2011年10月6日 悠 雅彦)

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