#  863

『青春時代〜アンリ・デュティユーの音楽』
text by 大木正純


アンデサンス(INDE004) 2,800円

マルク・トレーネル(ファゴット)
ヴァンサン・リュカ(フルート)
ダニエル・ブレジンスキ(トロンボーン)
アレクサンドル・ガテ(オーボエ)
パスカル・ゴダール(ピアノ)

曲目:(デュティユー)
1. サラバンドと行列
2. フルートとピアノのためのソナチネ
3. コラール、カデンツァとフガート
4. オーボエとピアノのためのソナタ
5. ピアノ・ソナタ 作品1

録音場所:パリ、サン=マルセル教会
録音時:2007年3〜5月
プロデューサー:ブノワ・ドー
エンジニア:ベルトラン・カゼー

 世界のメジャー・オーケストラの中でも、パリ管弦楽団の管セクションが名うての腕利き揃いであるのは昔から定評のあるところ。超多忙男パーヴォ・ヤルヴィ(音楽監督)に率いられてきたパリ管のこの秋の日本ツアーでも、「幻想交響曲」の驚異的な快演に華麗な彩りを添えたのが彼らだった。このディスクに登場する管楽器奏者たち4人のうち、ファゴットのトレーネル、フルートのリュカ、オーボエのガテの3人は、いずれも日本公演に首席奏者として参加した人たちである。

 デュティユーが20歳から28歳にかけて、時代的には第二次世界大戦中から終戦直後に書いた初期作品によるこの非常に珍しいアルバムは、パリ管の精鋭たちのチャーミングな演奏によって、現代作曲界の第一人者の、若き日の並外れた力量を明らかにする貴重な1枚だ。収められた5曲(うち4曲が管とピアノのデュオ、残る1曲はピアノ・ソナタ)は、驚くべきことにそのすべてが秀作と言ってよい。中でも楽器の持ち味をフルに生かしたフルート・ソナチネの繊細な美しさや、精緻なテクスチュアが全曲に張り巡らされたオーボエ・ソナタの完璧なフォルムは、デュティユーの天才ぶりをあますところなく示すものである。

 以上4曲で管楽器のパートナーを務めたフランスの俊英ピアニスト、パスカル・ゴダールが、最後にピアノ・ソナタを弾く。全3楽章、演奏時間にして25分あまりの本格的な作品で、デュティユーも自信があったのだろう、記念すべき「作品1」としてこれを世に問うたのだった。終曲が「コラールと変奏」となっているあたり、大先輩フランクを思わせなくもないが、音楽的にはきわめて個性的な、若々しい意欲作である。とりわけ第2楽章主部の、夜のしじまにそっと響くような神秘的な美しさは忘れがたい。(大木正純)

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