UPDATED 08.23.2009
Musician's Mystery Quiz 出題者 ラリー・アペルバウム 回答者 ミシャ・メンゲルベルク


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1. Duke Ellington
“Transblucency” (from The Indispensable Duke Ellington, RCA)

Shelton Hemphill, Taft Jordan, Car Anderson, Francis Williams, Harold Baker, trumpets; Joe “Ticky Sam” Nanton, Lawrence Brown, Claude Jones, Wilbur DeParis, trombones; Johnny Hodges, Russell Procope, Al Sears, Jimmy Hamilton, Harry Carney, saxophones, clarinets; Duke Ellington, piano, composer; Fred Guy, guirar; Oscar Pettiford, bass;
Sonny Greer, drums; Kay Davis, vocal.
Recorded in 1946.

Before:(くすくす笑いながら)穏やかなピアノの演奏はどこかエリントンを思わせるね。計算された精密さと穏やかさが見てとれる。昔のエリントンじゃないかな。<good>、良いと思うよ。彼らはおそらく自分たちの演りたいことは何でも出来る人たちなんだよ。コンセルトヘボウで聴いたあの女性だ。47年か48年だったと思う。彼女の歌は<ok>だ。声の使い方はそれほどとも思わなかった。彼の望む通りに歌ったのだよ。

LA:彼とは会ったことはあるのですか?

エリントンかい? もちろんさ。個人的なものではなかったけどね。アン・バートンというオランダに住んでいたオランダ系の歌手がコンセルトヘボウで紹介してくれたんだ。彼は挨拶に来る誰彼となく握手をしていた。たいしたことは喋らなかったが、「今やっていることを続ける事だ。良い仕事をしなさい」というようなことを言った。声色や表情にどこか皮肉っぽさが見えた。彼の場合、見え見えではなく、礼儀正しさのなかにときどき疑念が走る瞬間があるんだ。

LA:彼が今ここにいたとしたら、何に付いて話し合いますか?

私はどのコンポーザーの音楽でも試みられなかったことをやりましたよ、と言うだろう。そして、あなたが40年代に演奏したある音楽を演奏し直してみたい、とも。ある音楽とは<Happy Go Lucky Local>だが。私が投げ出してしまったブルースで、汽車の汽笛が響く長いイントロが気に入ってるんだ。(口ずさむ)それだけだ。それがこの曲のキモだと思うんだが。残りのブルースの部分はお客さんのためだ。彼はこの曲をヒットさせたかったためにブルースを付けたんだ。今聴いた曲は演奏も良かったし、こなれていた。<good stuff>だ。

After:(大仰に)そう、ケイ・デイヴィスだ。彼女の名前は頭に浮かんだんだが自信がなかったので口に出したくなかったんだ。40年代後期のどこかのエリントンのコンサートで彼女を聴いた。素晴らしかったよ。ブルースが聴こえたが、あからさまではなかった。エリントンが私の初期の影響のなかではもっとも重要な人であることは間違いない。40年代はエリントンについて行ったが、53年か54年頃以降は彼から足を洗った。予定調和的になって、インスピレーションにも欠けるようになってしまった。セシル・テイラーみたいにね。
初期のセシルは良かったけど、進歩が止まってしまった。



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2. Tom Talbert
“In A Mist” (from Bix Duke Fats, Sea Breeze Records)

Joe Wilder, trumpet; Joe Soldo, flute; Danny Bank, clarinet; Harold Goltzer, basson; Jim Buffington, french horn; Barry Galbraith, guitar; Oscar Pettiford, bass; Osie Johnson, drums. Composer, Bix Beiderbecke; Arragner, Tom Talbert. Recorded in 1956.

Before:(最初のテーマの提示のところで笑い出す)うん。面白い音楽だ。面白い。初期のICPの音楽を思い出す部分もある。作曲のスタイルが自由だ。思い出すのは、トランペットにアクロバチックなこと、吹き慣れていない音を吹かせたことだ。初期のマイルス・デイヴィス的なところもあるが、マイルス・デイヴィスではない。ウェスト・コーストのトランペッッターかも知れない。ウェスト・コーストのジャズにはとても面白いところがあるんだ。当時、彼らはLes Six:Honegger, Milhaudの影響を受けていたと思う。スタラヴィンスキーの影響もあるんじゃないかな。ポリトーナルなところとか。ある意味で楽しめるところはあると思う。全然悪くはないよ。編曲はプロフェッショナルだ。<Good stuff>。

After:彼は聴いたことがないな。当時のトランぺッターで聴いていたのは5、6人いる。ディジー・ガレスピー、マイルス・デイヴィス。自分の音楽を始めるまでのマイルスだが。マイルスがギル・エヴァンスとやった音楽は良くないと思うね。しかもだんだん悪くなっていった。(楽曲の作曲者名を知らされて)ビックス・バイダーベックは当時の現代音楽と接触があったんだ。。ドビュッシーやラヴェルなどのフランス音楽に興味を持っていた。40年代に親父に連れられてコンセルトヘボウでさんざん聴いたんだ。でも私の好みはもっと過激なものだったんだ。シェーンベルクは早い頃から好きだった。ベルク、ヴェーベルンはもちろんだ。だけど彼らのフォロワーは好みじゃない。カールハインツ(シュトックハウゼン)やピエール・ブーレズは面白くなかった。イタリアの作曲家には見るべき人もいた。たとえば、ベリオ。彼は音楽的ではないとは思わなかった。彼は、当時の一大潮流だったセリアリズムの境界を超えたところで何か新しいことをやろうと頑張ったんだ。興味があったのは(ジョン)ケージだね。彼はデイヴィッド・チューダーと他の誰のものでもない彼独自の音楽を創ったんだ。



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3. Joe Lovano
“Monk‘s Mood” (from I’m All For You, Blue Note)

Lovano, tenor sax; Hank Jones, piano; George Mraz, bass; Paul Motian, drums. Thelonious Monk, composer. Recorded in 2003.

Before:おいおい、やめてくれよ。何やってんだか。テーマに合わせて口笛を吹き出す。だめだ。ハッハッハッハ。だめだ、興味ないよ。止めてくれよ。私ならセロニアスをもっとうまく茶化せるよ。たとえばね、シカゴじゃ、<ラウンド・ミッドナイト>をE-flat majorで演ったよ。彼らのような小手先のコードワークやミスじゃだめだ。テーマ自体が大きな失敗だ。ビバップの“オイシイ”コードを使いまくってるけど、気に入らんね。中身のないドビュッシーやラヴェル的コードだ。親父の先生だったウィレム・パイパーというオランダ人の作曲家の手の内にあったやつだ。彼らの音楽もジャズと呼ぶのかも知れんが、私に言わせれば限りなくエンターテインメントに向っている音楽だ。

After:面白くないハンク・ジョーンズ的だと言おうとしていたんだ。最初のところでは“オイシイ”・コードとそれなりのコードをミックスさせていたんだが、だんだんシリアスな方向を避け手抜きコードで走り出した。<モンクス・ムード>にかなり近いが、<モンクス・ムード>とはいえない。スティーヴ・レイシーが教えてくれた本当の曲名は<That’s The Way I Feel Now>って言うんだ。(タイトルを口ずさむ)サキソフォンの音は悪くないよ。デキるプレイヤーだね。多分、彼は大先輩のハンク・ジョーンズに合わせて抑え気味にいったんじゃないのかな。「どうしてハンク・ジョーンズが時代遅れのプレイヤーだって言えるんだい。彼は時代を問わないプレイヤーだよ。よくいうね」と反論も多いだろう。いや、申し訳ない、私は思ったことをそのまま口に出しているだけなんだ。晩年のマイルス・デイヴィスを持ち出してみたまえ、本気でコキ下ろすからね。(笑い)



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4. Dave Douglas
“Gumshoe” (from Mountain Passages )

Douglas, trumpet, composer; Michael Moore, clarinet; Peggy Lee, cello; Marcus Rojas, tuba; Dylan van der Schyff, drums.
Recorded in 2004.

Before:イエー、いいじゃないか。ドラムのダブル・テンポは好みじゃないけどね。イージー過ぎるよ。(トランペット・ソロの頭で)このやり方で6コーラスは吹けるだろうけど、もっといけるかも知れない。あれはチェロかい?(チューバの頭で)ふーむ、何をやりたいんだろう?(一緒に口ずさみながら)全然判らない。ぐっとこないんだ。ここでテーマをリピートしたってことは終わるんだな。良かった。曲が気に入らない。手ぬるいポスト・ロマンチシズムだ。本当のロマンチシズムじゃない。トランペットはそんなに悪くないよ。だけどこの曲ではつまらん音楽を演ってる。

After:デイヴについては尊敬している部分もある。時には一緒に演ることもあるしね。彼は自分にとって未知なことを敢えて演ろうとすることがある。彼はおかしなことを演りたがるんだ。私もそうだがね。下手をするとサーカスの音楽になってしまうようなやつをね。コンテンポラリーなミュージシャンからは批判もある。彼らはデイヴをボーイ・ワンダーと呼んで、自分の演っていることのどれも真面目に捉えていないという。だけど私は気にしていないよ。彼の選択だからね。私もいつも真面目じゃないような印象を与えるように意識してるんだ。だけど彼の演っていることは多少とも真面目に捉えているよ。(クラリネットに気付き)マイケルかい?良いよ!彼は信じてる。いつもじゃないけど,彼は曖昧なことを演るんだ。おっと、デイヴのことだったね。彼は良いトランぺッターだよ。彼は私の曲を演りたがるんだ。だけど、なかにはもう終わっている曲もあるんだが、彼は気にしないんだ。何かを演るには適当な乗り物であることもあるんでね。そしてうまくやりこなしてしまうんだ。



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5. Grachan Moncur III
“Monk In Wonderland” (from Exploration, Capri Records)

Tim Hagens, trumpet; John Clark, french horn; Dave Woodley, trombone; Gary Bartz, alto saxophone; Billy Harper, tenor saxophone; Gary Smulyan, baritone saxophone; Ray Drummond, bass; Andrew Cyrille, drums; Moncur, trombone, composer. Recorded in 2004..

Before:ハ、ハ。イェー、面白い音楽だ。OK。とっても良いよ。素晴らしい。
音楽にルールにあてはめる緩やかな方法がある。やり過ぎは良くない。

LA:面白くて、同時に真面目な音楽というのはあり得ると思いますか?

MM:あるさ。本当に真面目な音楽はつねに面白い。ストラヴィンスキーかい?面白いじゃないか! <春の祭典>かい? どこをとっても面白い。この演奏のソロはどれもおしなべて問題ないよ。偽りがなく、かつ、面白い音だ。

After:グレチャンのことは知っていると思う。悪くはなかったよ。来月(NYで)会いたいね。何曲か一緒に演ったらいいと思う。曲じゃなくてもいい。彼が演りたいことは何でも演っていいよ。グレチャン・モンカーだよね。彼の演奏は好きだったんだが、消えてしまったんだ。時に活動を止めてしまうミュージシャンがいるんだ。うん,悪くない。良いと思うよ(kind of ok)。

LA:あなたの場合、良いと思う (kind of good)というのは、「かなり良い」ことを意味しますか?

MM:とても良かったよ (very good)。(笑い)「7+」だ!「8」点を取れるケースはごくわずかだ。モンクだって、時には、だ、いつも、じゃない。

(ここでコーヒーとミネラル・ウォーターのお代わりを要求する)



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6. Art Ensemble of Chicago
“Theme de Celine” (from Les Stances a Sophie, Soul Jazz)

Joseph Jarman, Roscoe MItchell, saxophones; Lester Bowie, trumpet; Malachi Favors, bass; Don Moye, drums.
Recorded in 1970.

Before:荒っぽいベース・プレーヤーだな。テーマの表現が荒っぽい。良いよ。
うん、イカした味を出してるね。気に入ったよ。うん、だんだん面白くなってきた。トランペット・プレーヤーがとても良いね。トランペットをじつに良く知ってる。彼は19世紀のトランペットの音を出すことには興味がないんだ。
(ロスコー・ミッチェルのソロでは)ワオー、ハロー!(さらに笑う)良いねえ。ウワー!また荒っぽいベースの登場だ。良い(Ok)演奏だ。表現に緩やかさと自由がある。言いたいことを言っている。現実が見える。家を出て毎日街で見かける風情が見える。演奏してる連中は誰だか判らないんだけどね。アルバート・アイラーは自分なりの即興の方法を編み出した。これはアルバート・アイラーではない。しかし、この連中はアルバートをよく聴き込んで、彼らなりの結論を導き出した。だから、とても面白いんだ。万歳!

After:どこか馴染みのある音だと思った。彼らは良くやってる.とても良い(ok) 音楽だったよ。今日聴いたなかではエリントンに次いで良かった。とてもバランスが良いんだ。素晴らしいミュージシャンたちだ。素晴らしい。



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7. Gonzalo Rubalcaba
“Los Bu¨yes” (from Paseo, Blue Note)

Rubalcaba, piano, keyboards; Luis Felipe Lamoglia, alto saxophone; Joe Armando Gola, electric bass; Ignacio Berroa, drums.
Recorded 2004.

Before:イエーイ。良いじゃないか。アフリカ人かい?南アフリカの Kwelaかい? 多分そうじゃないだろうけど、Kwela の影響を受けてるね。(ピアノのコードを聴いて)そうだ!クリス・マクレガーの「ブラザーフッド・オブ・ブレス」を思い出したね。あるいは、クリスの小型のグループかな。ピアニストは控えめだけど、中心的な存在だ。彼らは、いわゆるフリー・ミュージックを知っている。この種の音楽を演るのは初めてじゃないね。

After:キューバ人か。興味あるね。聴いたことはないけど。彼は良いよ(ok)。
彼は重要な存在らしいとは聞いてる。このサックス奏者はどこか古い友達のドゥドゥ・プクワナを思い出させるところがあるね。彼はしっかり者でね、何とか食らいついていって成功した。 NYで彼と会ったら、とても良いレコードを作ったね、と言ってやるよ。



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8. Yosuke Yamashita
“The Quintet” (from Pacific Crossing, Verve)

Yamashita, piano, composer; Cecil McBee, bass; Pharoan ak Laff, drums; Meisho Tosha, fue (flute); Kiyohiko Semba, tzuzumi & percussion. Recorded in 2003.

Before:へへー。フルートは好きなタイプじゃないけど、彼の息遣いは尊敬に値するね。ベーム・フルートじゃないようだ。日本か何かじゃないか。尺八かい? とても良い音してるよ。気に入った。流れるようで、まとまっているようで、そうでもないようで。古い儀礼の音楽の可能性もある。この種の音楽を演る人たちに会ったことがあるけど、名前は覚えていない。聴きたいときもあるけど、続けて聴きたいとは思わない音楽だ。今日は日本の音楽を聴きたい日じゃないな。

After:うん、彼は知ってる。彼とは碁を打ったことがあるよ。彼は良い (ok)と思うよ。悪くはない。このレコードの全体的な雰囲気には興味がある。



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9. Dave Holland Big Band
“Bring It On” (from Overtime, Palmetto). Antonio Hart, Mark Gross, Chris Potter, Gary Smulyan, saxophones; Robin Eubanks, Jonathan Arons, Josh Roseman, trombones; Taylor Haskins, Alex Sipiagin, Duane Eubanks, trumpets, flugelhorns; Steve Nelson, vibes; Billy Kilson, drums; Dave Holland, bass, composer. Recorded in 2002.

Before:書法は、コンテンポラリー・ビッグ・バンドだ。私の好きなテーマじゃない。30年代に典型的な伝統に頼り過ぎている。アルトがうるさいな。この手のアルトはTVのスポットでさんざん聞かされてる。90年代で終わってるよ。ヒーローが店頭で何かを買おうとするときにまだ鳴ってるんだよ。とにかく特別な何かじゃない。この手の音楽を書いて商売をしようとする輩が今でもいるということだよ。熱狂的なジャズ・ファンを思いっきり侮蔑していることは判ってるけど、私はこの手の音楽には興味はないんだ。私に怒りをぶつけてもらっていいよ。ゼロだ。もう勘弁してくれ。
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After:何だ、デイヴか。デイヴなら知ってるよ。彼とは演ったことがあるけど、悪いベース・プレーヤーじゃあなかった。彼は絶対に自分で手を出しちゃいけないんだ。誰かをリーダーに立てなきゃ。彼はサイドマンだよ。サイドマンだといい仕事をする。彼は他から役割を与えられるベース・プレーヤーであって、自ら物語りを紡ぐミュージシャンじゃないんだよ。

LA:彼はジャズの世界でもっとも成功したグループのひとつを率いているんですよ。

MM:待てよ。「ジャズでもっとも成功したグループ」ってどういう意味だい?そんなグループ聴いたこと無いぞ。それほどコマーシャルだとは思わないけど、避け難くコマーシャルになり得ると思うけど。全然面白くないんだ。面白いの反対だよ。



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10. Eric Dolphy
“Feathers” (from Out There, OJC)

Dolphy, alto saxophone; Ron Carter, bass; George Duvivier, bass; Roy Haynes, drums. Hale Smith, composer.
Recorded in 1960, reissued 2001.

Before:コンテンポラリー・センチメンタリズムだ。センチメンタルであることに頭から反対はしないけど、本来のセンチメントを隠してしまう可能性がある。(ソロが始まる)何だ、エリック・ドルフィーじゃないか。ありがとう。私は彼を絶対的に賞賛する者じゃあないんだ。私らが共演したあの週は心から彼と演奏したいと思ったんだ。彼は私が興味を持っていた素材に別のアプローチを試みようとしていたんだ。たとえば、僕らはモンクを演奏したよね。私がモンク的なコードを展開していくと彼とぴったり合うんだ。私はその曲でモンクが演奏した内容を知っている。彼が使ったコードを演奏していくと、そこから一連の別のコード、代理コードや普通のコードの変化したものが現れてくるんだが、エリックはそういうコードを即座に理解して、アルトやバス・クラリネットで完璧に吹き出してくるんだ。

LA:エリックと一緒に作ったレコードについてどう思いますか?

MM:全然悪くないと思うよ。あの時はじつは余り乗り気じゃなかったんだ。僕らは、かのベース・クラリネット奏者、アルト奏者に対して未熟だったんだ。だけど、できることを演ってみようと思った。彼の作曲はまだ本物じゃなかったと思う。悪くはなかったけどね。彼はガールフレンドが住んでいたパリで、ナディア・ブーランジェに就いて正式なレッスンを受けたいと思ってた。彼はナディアの最後の生徒のひとりになるはずだったんだ。彼女もエリックを生徒に取ろうと思っていた。彼女は素晴らしい女性で、エリックの才能を即座に見抜いていたはずだ。彼ほど若くして死んでしまった人はごく稀だね。信じられないけど。

*関連リンク:
http://www.jazztokyo.com/yokoi/v07/v07.html
http://www.jazztokyo.com/yokoi/v09/v09.html


ラリー・アペルバウム