タイトル:『絶対音感』
著 者:最相葉月
出版社:小学館
初 版:1998年3月
定 価:1,600円+税
腰巻コピー:
小鳥のさえずりも救急車のサイレンもドレミで聴こえる。
あなたの隣に全く別の音世界に生きている人たちがいる。
「第4回週刊ポストSAPIO 21世紀国際ノンフィクション大賞」受賞作に大幅に加筆修正の上、上梓された労作。音楽には無知であった法科出身の著者が、友人との会話に登場した「絶対音感」という言葉に興味を持ち謎解きの旅に出る。「絶対音感」とは、楽音はいうまでもなく生活雑音も含めたすべての音の音名を正確に識別できる能力をいう。民間の音楽教室では幼児から音感教育に励んでいるが、音楽を職業とする人たちにとっても、職能によっては「絶対音感」が邪魔になる場合がある。ピアニストの園田高弘、大西順子、バイオリニストの千住真里子、指揮者の大友直人、歌手の矢野顕子など多くのアーチストへのインタヴューから現場の声を拾う。先年亡くなったジャズ・ボーカルの大御所笈田敏夫の父親は絶対音感教育を体系化したひとりなどの史実も繙(ひもとか)れる。義務教育では<移動ド>が採用されているにもかかわらず、<音楽教室>では音感教育上<固定ド>が当然。また、クラシックで混在使用される和名<イロハ>とドイツ語の<アー・ベー・ツェー>、イタリア語の<ド・レ・ミ>、ジャズで使用される英語の<エイ・ビー・シー>などさまざまなネジレの解明などにも及ぶ。さらには、基準音に使われるA(ラ)音でさえ、国により、あるいはオーケストラにより440〜445Hzで変化するという驚くべき事実も(来日したジャズ・ピアニストから442のピッチを要求され、ホールやチューナーとの板挟みになり冷や汗をかいた経験を思い出した!)。
意外な展開を見せ始めた当サイトの菊地vs山下往復メール理解のためにも一読の価値あり。
JT
(稲岡邦弥)
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