UPDATED 12.04.2005

風の国 風の舞

タイトル:『風の国 風の舞』
著 者:金 利恵
出版社:水曜社
初 版:2005年11月11日
定 価:本体1,500円+税

腰巻コピー:
日本で生まれ育った私が、韓国を初めて訪れたのは二十歳の夏でした。 それまで観念だけに閉じ込められた国が、そうでない、現実にここにある、ということを知りました。当たり前のことでしたが、それは、その後の私の生き方をまったく変える大きな衝撃でもありました。(本文より)

 今年が日韓友情年であることを認識している国民が何人いるだろうか?かくいう私自身、金利恵さんの公演「白い道成寺」を報じる新聞で知ることになった。韓流スターの動向については日をあげず克明にリポートするわが国のTVで詳細を報じたのは先週のNHK-TVであった。日韓国交正常化40周年にあたる今年、文化面を通じて両国でさまざまな交流イベントが行われた。なかでも在日2世である著者が主役を演じた韓舞「白い道成寺」は、日韓の文化に通じた彼女を中心に両国の伝統音楽家が相和し、ソウルから北九州、名古屋、東京、大阪を巡るきわめて有意義なイベントであった。坂本龍一がいう「二つのクニをつなぐ「橋」たる運命をもって生まれてきた」金利恵さんは今年、身を艇して自ら「橋」となった。
 これは、自国の伝統音楽に血を覚まされソウルに渡り伝統舞踊の修得を決意、やがて「サムルノリ」のリーダー金徳洙氏と結婚、ソウルに移住した彼女が折りにふれ綴ったエッセイをまとめたものである。市井の生活の一端を書いて韓国の真髄に触れる眼力と筆力はジャーナリストとしてのキャリアの賜物だろうか。大部のガイド書をはるかに凌ぐ。両国における「在日」の身分の大いなる不安定さにもかかわらず、語り口に力みや悲愴感が微塵も感じられず、どこまでも正直な勇気と健気(けなげ)さに打たれるのは彼女の育ちと人柄によるものだろう。久し振りに琴線に触れる書に出会えた喜びに浸っている。 JT (稲岡邦弥)

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