タイトル:『インプロヴィゼーション〜即興の彼方へ』
著 者:デレク・ベイリー
訳 者:竹田賢一 木幡和枝 斉藤栄一
出版社:工作舎
初 版:1981年11月
定 価:2,300円+税
腰巻コピー:
音に何ができるか——フリー・インプロヴィゼーションの最前線に立つギタリスト、デレク・ベイリーの即興演奏論。
禁断の書である。しかし、著者が故人となった今、何をおいても紹介せねばなるまい。原著は1980年にロンドンで刊行されたが、1974年にBBCラジオから放送された、著者がインタヴュアーとなった番組がベースになっているという。そして、1982年、さらに本著をベースにTV番組が制作され、4週間にわたってBBC・TVから放映された。Incusからビデオ化されている『On the Edge』がそれで、放映と時を同じくして本著の第2版が刊行された。自ら極北のインプロヴァイザーである著者が、インド音楽からフラメンコ、バロック音楽、教会オルガン音楽、ロック、現代音楽、ジャズを経てフリー・インプロヴィゼーションまで各ジャンルの即興演奏家へのインタヴューを通じて、インプロヴィゼーションの本質を解き明かすべく試みる。作曲し記譜するという営為が音楽を普遍化するという成果をもたらしたが、一方では即興演奏を退けることになりその結果、西洋古典音楽の形骸化をもたらした。かつて“ジャズ”を演奏していた著者はジャズもまた同じ道を急速に辿っていると警告する。すでに四半世紀以前のことである。「即興演奏以上に、技能や専念、周到な準備や訓練、真剣なかかわりを要する音楽活動はないことを知ってい」たのは、そのことをひたすら実践してきた著者その人であった。語りえないもの、インプロヴィゼーションを考察するに絶好の手掛かりを与えてくれる名著である。
JT
(稲岡邦弥)