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| タイトル:『武満徹の音楽』 著 者:ピーター・バート 訳 者:小野光子 出版社:音楽之友社 初 版:2006年2月 定 価:3,800円+税 |
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音楽を「イメージ的に」聴く。とくに武満徹の音楽の場合、アレコレと具体的、抽象的イメージと結びつけて聴いてしまう。その一番の要因は文学的な香りあふれる曲名だ。「虹に向かって、パルマ」とあれば、「パルマ」少年が虹の麓を目指して歩んでいく姿を思い浮かべてしまう。しかし作曲者の説明では、この曲は「スペインの画家ホアン・ミロへのオマージュとして作曲された」とのこと。とすれば「パルマ」は少年の名ではなく、ミロが死去したマジョルカ島の町の名か。少なくともミロの明るい色彩を思い浮かべて聴く方がよさそうだ。かように作曲者自身の言葉は曲の理解に有益である。しかし一方で言葉によって、意識的に、無意識的に、覆い隠されてしまうものもある。ピーター・バート著『武満徹の音楽』によれば、この曲の核となる部分にはアルバン・ベルクの「ヴァイオリン協奏曲」の主題が隠れているという。ベルクの影は同時期の「遠い呼び声の彼方へ!」にも見て取れる。それらが譜面で具体的に示される。「遠い〜」の場合、ジェームス・ジョイスの小説を引き合いに出した作曲者自身の解説に従い、リフィー河が「ハ調」の海へと流れゆく様をイメージして聴くのが通常だが、本書の指摘を読んだ後では興味はむしろ、ベルク的なものに移っていく。武満は初期に新ヴィーン楽派の虜となりながら、なぜ結局は厳密さを極めて戦後の前衛の出発点となったヴェーベルンを離れ、ベルクへのシンパシーを底流に持ち続けたのか。 [ LIBRARY Back Number ] [ AIHARA's INDEX ] |
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