UPDATED 05.06.2006
世界の音を訪ねる 音の錬金術師の旅日記
タイトル:『世界の音を訪ねる —音の錬金術師の旅日記』
著 者:久保田麻琴
出版社:岩波新書/岩波書店
初 版:2006年4月20日
定 価:940円(税別)

腰巻コピー:
現代のボヘミアンの声に耳を傾けてみようではないか(細野晴臣)
ワールド・ミュージックの鬼才による初の書下ろし(CD付)

74年に夕焼け楽団でメジャー・シーンに登場以来(沖縄のローカル・ヒット<ハイサイおじさん>をいち早くカヴァー)、80年のサンセッツ、ディック・リー(シンガポール)とのコラボなどを経て今なおミュージシャンとして、あるいはプロデューサーとして音楽の現場に立ち続ける本来の音楽人・久保田麻琴のユニークな音楽談義。地球上を忙しく往来しながらこの人の音楽はつねに春風のように駘蕩(たいとう)としているがその原点は同志社大在学中に結成したボザノバ・バンドにあるようだ。内容は大きく「旅する錬金術師」と「インタビュー」の2部に分かれ、第1部は中南米音楽誌『ラティーナ』に寄稿したものを大幅に加筆、改稿、ブラジル北東部レシーフェ、モロッコのグナワ、シンガポールへの旅を中心に3章に分け述べたもの。彼が現在もっとも注目するのがレシーフェのマラカトゥとモロッコのグナワだという。各地のエスニックとケミストリーを起こしながら面白い展開をしているという。
第2部のインタビューは久保田のキャリアを語ることが期せずして東西のロック、ポップ史を辿る結果になっており、流行は目まぐるしく変わっても久保田自身の立ち位置は不変である事実を物語っている。すべてをブームに仕立てる日本の音楽界だが、彼は「ワールド・ミュージックはバブルの崩壊とともに終わった」という言説を一笑に付している。事実、彼は各地のエスニックとのハイブリッド音楽のシリーズ・アルバムを着実に継続している。
なお、「ハイ・スピリットな9枚」の項に、エロール・ガーナーの『ジャズ・ラウンド・ミッドナイト』とチャーリー・パーカーの『オ・プリヴァーヴ』の2枚のジャズ・アルバムが含まれている。ジャンルを問わず「良い音楽」が好きだという久保田らしい選出である。
付録のミニCDはグナワの貴重な音源を収録。 JT (稲岡邦弥)

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