|
![]() |
|
| タイトル:『波のあわいに――見えないものをめぐる対話』 著 者:三善 晃+丘山万里子 出版社:春秋社 初 版:2006年6月25日 定 価:2,400円(税別) 腰巻コピー:作曲家の強靭な精神と豊穣な音響はどこから生れ、どこへ向かうのか。 音楽評論家との対話から浮かびあがる「見えないもの」の豊かさ。 |
||
|
深くとぎすまされた言葉は、時に人をとまどわせる。次期サッカー日本代表監督に就任するイビツァ・オシムは、独特なアフォリズムを駆使することで知られるが、その背景には、サラエボ出身の彼が体験した戦争の深い傷痕が影を落としている。一旦は人間に対する素朴な信頼を粉々にされ、それでもなお、人間を信じて前進していこうとするとき、思い巡らす言葉は内向と抑制を経て、他者には想像も及ばない孤独な営みから汲み上げられ提示される。こうした内的体験の諸相において、サッカー監督オシムと作曲家の三善晃は、同じ存在者の系譜に連なる。三善が音を通じて世界と他者に関わろうとするとき、つねに対象に向かう「あこがれ」と「違和」のはざまで意識が立ち止まる。そこから発せられる三善の言葉は、芸術家の魂の奥底を垣間見せる「痛み」と「純粋さ」に覆われたものとして、読者に深い感銘を与えてきた。しかし、凝縮された詩のように華麗で晦渋な文体が近寄り難い印象を感じさせていたのも事実。本書『波のあわいに』は、そんな創造者・三善晃の内的世界の核心が、旧知の評論家・丘山万里子を対談相手として初めて平易な言葉で語られた待望の一書である。オシムの言葉が選手の意識を変えて美しいサッカーを結実させたように、三善の言葉もまた、私たちの音楽、そして世界と他者(生者と死者)との関わり方を再考させる深い浸透力と喚起力をもっている。JT
[ LIBRARY Back Number ] [ HORIUCHI's INDEX ] |
||