タイトル:『音楽』
著 者:小澤征爾+武満徹
初 版:1981年4月5日
出版社:新潮社
定 価:¥2,200
腰巻コピー:言葉でしか表せない真実がある!二人の天才が語った創造の秘密。
前掲書『翔べ未分の彼方へ チェリスト青木十良の思索』で青木氏が音楽教育の現場体験から危惧したさまざまを国際的に活躍するふたりの音楽人が厳しく告発する。日本の音楽現場はわれわれの想像を超えて惨澹(さんたん)たる有り様らしい。
肝胆(かんたん)相照らす仲のふたり(武満が5才年長)が胸襟(きょうきん)を開いて創造の苦しみを語り合う。自分の名を知らなかった日本の音楽官僚にがく然とした武満は自身の存在価値にさえ疑問を呈する。武満は小澤が語る武満に対する海外での圧倒的な評価、とくに武満を神近くに列する欧米の若い音楽人の熱狂に心底救われる。世界の巨匠連から愛されるこのふたりの天才に対する我が同胞の冷遇を恥じ入るばかりである。
しかし、われわれは「この対談で私たちがあらためて確認したことは、未だに私たちが音楽への無限の渇望の中に在る、ということであった」と記した武満の本音に心底救われるのである。が、その武満その人はもう存在しない(96年没)。文庫化にあたって解説を担当した細野晴臣は「中心の中の中心と思えることばを発見した。それは武満氏が<(小澤氏の)音楽を素晴らしいと感ずるのは、その愛し方だよね。音のいつくしみ方のちがいだよ>」と書くとき、「音楽への無限の渇望」とは、マイルス・デイヴィスの発言「創造の源泉は音楽に対する愛である」と同意義であることを知る。
JT
(稲岡)
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