# 253
ティファニー&フレンズ
「イエスタデイ&イエスタデイズ」 CD発売記念ライブ
2010年1月25日@丸の内「コットンクラブ」
photographed & reported by Yumi MOCHIZUKI
ティファニー(vo)
野本晴美(p)
ポール・ドワイヤー(b)
ジミー・スミス(ds)
レイモンド・マクモーリン(ts、ss)
セット・リスト
1. ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ
2. クワイエット・ナイト
3. スイート・ジョージア・ブラウン
4. やさしく歌って
5. トゥ・ラブ・アンド・ビー・ラブド
6. 荒城の月
7. ブレイム・イット・オン・マイ・ユース
8. セント・トーマス
9. イン・ア・メロウ・トーン
10. エブリシング・マスト・チェンジ
11. オン・グリーン・ドルフィン・ストリート
12. イエスタデイ〜イエスタデイズ
昨年の11月25日にリリースした新作『イエスタデイ&イエスタデイズ』(Eighty-Eight’s VRCL-18845)の「丸の内コットンクラブ」での発売記念ライブの1stセット。スリットのきいた白のロングドレスに同色のストールをまとったティファニーが登場。
ロングドレスに同色のストールはティファニーのトレードマークで一作ごとに色が変わるようだ。早春のステージには白がよく似合う。
Tiffany&Friends at Cotton Club
一曲目<ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ>から軽快にスイング、途中スキャットでジミー・スミス(ds)とバースを繰り広げるころには明るく人懐っこい雰囲気で会場を掌握するティファニー。年一作のペースでアルバムをリリースして本作がその4作目になる。順不同だがアルバム『イエスタデイ&イエスタデイズ』に収録された曲、全12曲をパワフルに歌いきった。持ち前のキュートな愛らしさに加えて落ち着いた安定感も備わり、自信がみなぎっているのが音としぐさの両面で伝わってくる。選曲もなかなか素晴らしい。誰もが聞き知っているスタンダード<スイート・ジョージア・ブラウン><オン・グリーン・ドルフィン・ストリート>からボサノバの<クワイエット・ナイト>、かと思えばロリンズの<セント・トーマス>、エリントン・ナンバーの<イン・ア・メロウ・トーン>があり、ベナード・アイグナーの<エブリシング・マスト・チェンジ>などメロウな曲も歌う。一曲ごとに選曲の巧みさ、歌唱の上手さに納得させられてしまう。
Tiffany
今回のレコ発ライブは開催場所によってメンバーが異なっているが、当夜のメンバーのジミー・スミス(ds)、レイモンド・マクモーリン(ts)とは1’stアルバム『ザ・ニアネス・オブ・ユー』(VRCL-18834)以来ずっと一緒でティファニーにとって最もリラックスできる二人である。ジミー・スミスは72歳という年齢を感じさせない軽快なリズムと小粋なバッキングでグループをスイングさせている。ジミー・スミスのタイコはとにかく気持ちよい。
派手なテクニックをひけらかすようなことはせず、ひたすらグルーヴィーにスイングする。日本での演奏歴も古く、ジミー・スミスと共演した日本のミュージシャンはみな口を揃えてあの強力なビートはすごいよと話す。レイモンド・マクモーリンもメロディを大切にするオーソドックスなメイン・ストリーマーでオブリガードも間奏もティファニーとの呼吸がぴったりである。野本晴美(p)もライブでは何度も共演している間柄であり、控えめながら端正で粒立ちの良い彼女のタッチはキュートなティファニーの声の魅力を引き立てている。ポール・ドワイヤー(b)は面白いことに2003年来イギリスから長唄を研究するために滞日中と聞いているが安定感のあるしっかりしたリズムをサポートしている。そしてなによりもティファニーがメンバーとの交流を心から楽しんでいる様子がステージからダイレクトに伝わり、客席との距離感をなくしている。
ジミー・スミス(ds)
ロバータ・フラック(vo)で有名な<やさしく歌って>では野本のピアノをバックにバースを歌い始めると客席から拍手と歓声が沸きあがりコットンクラブ全体に一体感をもたらす。ティファニーのやさしい情感が曲の美しさを際立たせていたのが印象に残った。また滝廉太郎の<荒城の月>をスインギーに唄ったのも興味深い。<荒城の月>は1973年アビー・リンカーン(vo)が来日中にレコーディングしたアルバム『ピープル・イン・ミー』(PHILIPS)で英語の詩をつけて歌ったものが今でも記憶にしっかりと残っている。アビーは心にしみいるようなスロー・バラードにして朗々と歌っていたが、ティファニーは快適なスイング・ナンバーにアレンジしており、その対比が面白い。因みにアビーもティファニーもデイレクター、プロデユーサーとして係わっていたのが現Eighty-Eight’s‘88’レーベルの伊藤八十八さんであるというのも頷ける。<オン・グリーン・ドルフィン・ストリート>ではスキャットでジミー・スミスとの掛け合いで華やかに会場を盛り上げ1stセットは終了。
そしてアンコールでアルバムのタイトル曲<イエスタデイ&イエスタデイズ>を歌う。野本のピアノに導かれてビートルズの<イエスタデイ>をしっとりとしたスロー・バラードに仕立てじっくりと聴かせたあと一転してイン・テンポに転調、ジェローム・カーンの<イエスタデイズ>をスリル満点に歌いこむ。スロー・バラードの魅力とスインギーな魅力の両方を上手く構成しティファニーの長所が存分に発揮されている。歌っているティファニーの明るくのびのびとステージを楽しんでいる姿に観客席も大ハッピーとなる。
3年前に同じ丸の内「コットンクラブ」ではじめて聴いたときは客席には音楽関係者の占める比率が多かったように見かけたが今のティファニーのステージは客席が彼女のファンでいっぱいに満たされておりいまや人気、実力共に上昇気流に乗っている。
■COLUMN: 今月の論点:カデンツァ Vol.34「『鹿鳴館』に見る創作オペラ成熟への道」丘山万里子/ 連載フォト・エッセイ「音のみえる風景 Chapter 6. ペーター・ブロッツマン 2003年」望月由美/ 「JAZZ meets 杉田誠一Vol.54ミルフォード・グレイヴズ 1972年 NY」/ 特別寄稿:「オーストラリア 音楽紀行 2〜コーラスのオーストラリアン・グルーヴ」高谷秀司/ 「タガララジオ13 Niseko-Rossy Pi-Pikoe Classic Tracks 81-85」/ 「及川公生の聴きどころチェック:#110『バレエ音楽「くるみ割り人形」全曲』(EMI)/ #111『吉松隆/タルカス〜クラシックmeets ロック』(コロンビア・ミュージック・エンタテインメント)/ #112『テッド・ローゼンタール/ソー・イン・ラヴ』(SSJ/バウンディ) ■LIVE REPORT: #271「第26回INTERNATIONAL FESTIVAL MUSIQUE ACTUELLE VICTORIAVILLE」ブルース・リー・ギャランター(DMG,NY) ■FIVE by FIVE: FbF#712『Mike Nock Trio/An Accumulation of Subtleties』(FWM Records) 悠雅彦/ FbF#713『Jam at Basie featuring Hank Jones〜追悼ハンク・ジョーンズ』(ZZJA PLUS/Happinet)望月由美/ FbF#714『吉松隆/タルカス〜クラシックmeetsロック』(コロンビア・ミュージック・エンタテインメント)稲岡邦弥/ FbF#715『オヴァル/o』(Thrill Jockey Records)今村健一/ FbF #716『テリ・リン・キャリントン&モザイク・プロジェクト〜ジャズと生きる女たち』(ビデオアーツミュージック)稲岡邦弥
Copyright (C) 2004-2010 JAZZTOKYO.
ALL RIGHTS RESERVED.