Live Report#449

菊地雅章POOさん in JAPAN 2012
2012年6月24日(日)〜25日(月) @Blue Note Tokyo
2012年6月29日(金)〜30日(土) @L'autre Maison 西ノ洞
Reported by 池田達彌
Photos by 山路ゆか (Yuka Yamaji)

'12.6.22(金) 帰国
'12.6.24(日) TPT trio at Blue Note Tokyo
'12.6.25(月) TPT trio at Blue Note Tokyo
'12.6.29(金) solo piano at L'autre Maison 西ノ洞
'12.6.30(土) solo piano at L'autre Maison 西ノ洞
'12.7.3(火) 離日

'12.4.22(日)益子博之多田雅範四谷音盤茶会に二度目の参加をした時点で、POOさんのECM盤『SUNRISE』は、iPhoneで YouTubeにアップされた1曲目だけを聞いていた。喫茶茶会記の大きなスピーカーで聴けるだろう、というのは訪れた理由のひとつだった。この日は『SUNRISE』から1,2曲目を聴いたが、他に掛かった盤も含めた音楽群の影響で、以後しばらく、普段聴きの盤に困ってしまい、特にメロディーというものがウザったくなってしまった。

佐藤允彦、Gary Peacock、富樫雅彦の “WAVE” という、三人が順にイニシアティブを取って作品を残したトリオがあった。中でも、Gary主導の『WAVE U』は 唄心に溢れた愛聴盤。

ベーシストには かなりうるさい注文を出す〜そんなPOOさんの姿も拝見した事が過去にあるが、Tethered Moonから そのGaryを外して若手ベーシストを入れた編成は、唄〜メロディーというものとの間に、一旦 線を引いたように受け取った。POOさんのキラー・チューンである「So in Love」を聴く事も当面無いのだろう…と。

四谷〜後に聴いた盤と言えば、'07年の日野=菊地クインテット『Counter Current』と、'05年のGreg Osbyとのデュオ『KOプロジェクト』が多かった。どちらもあまりメロディーは多くない盤。クインテット盤は『SUNRISE』と同じトリオで 曲らしきものはあるが、デュオ盤は即興曲が多く 聴き応えがあり、今の耳にはホッとする。

因みに このKOプロジェクトについて…。先述の四谷音盤茶会で…POOさんが'80年代、シンセに夢中だった頃、Lee Konitzからの共演申し込みを断わって以来、声が掛からなくなってしまった…という秘話が出た。やはり、コニッツの事は意識しているのかも知れない。KOはKOnitz…と意識して聴き直してみると、なかなか面白く聴けた。(念の為確認したら、プロデューサーのITSUNOさんはKO大ではなくW大OB。)

TPTトリオの公演は、結局『SUNRISE』を聴かぬまま迎えた。BLUE NOTE TOKYOは、2日間の両2nd setを、西ノ洞は2日目を聴いた。

やはり即興をメインに進む。音を選んで響く沁み入る音と、これまでにはあまり無かった激しいフリーの波状攻撃。重篤な体の状況を乗り越えた経験の影響なのか。或いは…今回の来日時のインタビューで、“この数年、画家のシャガールの作品が好み”との話も漏れ聞いた。演劇の舞台背景の作品も残しているシャガール。その舞台の動きに繋がるような強弱であったのかも知れない。背景にお気に入りのシャガールの作品を掲げてのソロ・ピアノ…なんて企画も聴いてみたくなる。

Tethered Moonの頃のPOOさんのインタビューでは、「(今 やってる演奏は) フリーではない」と答えていたが、ここへ来て、ついにフリーに突入した。

トーマス・モーガンの、的確に決めてくるベース。トッド・ニューフェルドの、デレク・ベイリー×POOさんなサウンド。トッドは、POOさんの如く声も発しながら最小限の音しか奏でず、特にBN初日2nd setの、弦をさするようなプレイには光るものを感じた。

BN初日2nd setや、西ノ洞2日目2nd setの終盤、極度の集中が少し弛み、モンクやオルフェ、或いはオール・ザ・シングス〜の断片(コニッツの影も 勝手に ちょっと意識して聴く…行きそで行かないメロディーライン)をきっかけにしながら、別の拡がりを見せた。

アンコールは、従来のメロディーをきっかけにした展開。聴いた中ではBN2日目2nd setは「ネイチャー・ボーイ』、他は「黒いオルフェ〜カーニバルの朝」。

BN初日2nd setのアンコールでは、イントロに続いて メロディーを弾き始めて顔を上げた瞬間、「あれ、さっき弾いたな」という照れた表情をしたが、集中を取り戻して弾き続けたように見え、チャーミングに感じた。

因みに これが入っている盤と言えば、Tethered Moonのライブ録音『Plays Jimi Hendrix+』。ここでもアンコール曲。この盤を久し振りに聴くと、 ジミヘンの荒々しい曲も、これまで以上に、とてもメロディカルに聴こえた。


筆者・池田達彌

30年以上に渡り、弦を弾き続けてきたアーチャー(アーチェリー・プレイヤー)で、インターハイ個人優勝 他の記録。POOさんの音楽を『SUSTO』以降フォローする音楽好きですが、特に'90年代後半は都内の公演には追っかけの如く出向いていた過去があります。今回の来日も、縁あって可能な限り、久し振りに追いかけました。今回のTPTトリオ来日のコピーで、“緊張感と開放感が同居する、自由で美しい音楽。異彩を放つ孤高のピアニスト…”とありますが、音楽→アーチェリー、ピアニスト→アーチャーと置き換えた選手を、今でも目指しています。











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