『Nobu Stowe/Lee Pembleton Project/Hommage An Klaus Kinski』

SoulNote(伊) SoulNote121337

Nobu Stowe(p) Lee Pembleton (sound design) Perry Robinson (clarinet, micro-ocarina:2, 5, 7) Blaise Siwula (ts, alto-cl:2, 5, 7) John McClellan (ds: 2, 7) Ross Bonadonna (bass-cl, as, g: 3, 6, 9, 10).

1.Duo I-A 2.Quintet III 3.Trio III-B 4.Duo II-E 5.Quartet 6.Trio II 7.Quintet I-D 8.Duo II-B 9.Hommage an Klaus Kinski 10.'Round Midnight

ヤマハピアノGVの須藤伸義とサウンド・デザインのリー・ペンブルトンをフィーチュア、クラリネットとマイクロ・オカリナのペリー・ロビンソン、テナーサックスとアルト・クラリネットのブレイズ・シウラ、バス・クラとアルトサックス、ギターのロス・ボナドンナ、ドラムスのジョン・マクレランが脇を固める。じつは、一昨年、ブレイズ・シウラからキーボード担当の須藤と共演した2枚のKonnex盤をプロモーション用に提供されるまで日本人ピアニスト須藤のことは知らなかった。その後、昨年早々には、須藤、ペリー・ロビンソン、アンドレア・センタッツォの素晴らしいIctus発売のトリオ演奏についてはレヴューを書いた。ヴェルナー・ヘルツォーク監督と俳優のクラウス・キンスキーの長年のファンとして、須藤はこのアルバムを2001年に他界した「ポポル・ヴュー」のフローリアン・フリッケに捧げている。プログレ・バンドの「ポポル・ヴュー」はヴェルナー・ヘルツォークの映画のサントラのほとんどを担当、須藤に影響を与えた。須藤は、エレクトロニック・サウンド・マニピュレイターでヴィジュアル・アーチストでもあるリー・ペンブルトンと、折にふれたライヴやツアーを通じた共演関係を10年以上続けている仲である。この長大無辺ともいうべきディスクにはインプロによるデュオ、トリオ、クァルテット、クィンテットの演奏とモンクの<ラウンド・ミッドナイト>のカヴァーが収められている。須藤とリーが各曲の核になり、ボナドンナとのトリオを始め他のメンバーとクァルテットやクィンテットを組んでいく。須藤のピアノとリーのエレクトロニクス/マニピュレーションのデュオは、別世界のスピリチュアルともいうべき音楽を紡いでいる。須藤のピアノにはクラシックの訓練を受けた軌跡が聴かれ、リーの奇妙だが効果的なエレクトロニックなスパイスを得て壮大な響きを聴かせる部分もあった。須藤、リー、バスクラとアルトサックス、ギターのロス・ボナドンナによるトリオ演奏はさらに力があり、暗く、スペイシーだ。ピアノとリードが陰鬱なムードを醸し出すなか、リーのエレクトロニクスが距離感のある波形を加えていく。ペリー・ロビンソンとブレイジー・シウラをフロントにフィーチュアしたクァルテットでは、須藤のメロディックな演奏につられて他の3人もインサイドに留まり、夢見るようなメロディを紡いで行く。ペリーとブレイジーをフロントに置いたクァルテットに地元のドラマー、ジョン・マクレランを加えたクィンテットで演奏される長尺の2曲は静かだがムードは陰鬱である。須藤のピアノが加速のあるメロディを加えることにより全体が過度に陰鬱に陥ることから救うなど良い仕事をしている。ペリー・ロビンソンが主役に立つことが多いが、彼の場合、片足は過去をひきづっているものの(彼のクラリネットの音は旧世代のものだ)、片足は未来に踏み出している(彼の演奏スタイルはフリーだが完全なものではない)。クィンテット曲は長尺ではあるが、もっとも魅力的で、スリルを覚えるインプロである。タイトル曲の<クラウス・キンスキーへのオマージュ>が素晴らしいギターとピアノのからみを見せているのに対し、ディスクのクローザーとなっている<ラウンド・ミッドナイト>は夢の中を彷徨(さまよ)っているようにおぼろげなスタイルの演奏となっている。JT

(Bruce Lee Gallanter/Dwontown Music Gallery,NYC)

*Downtown Music Gallery: http://www.dtmgallery.com/Main/index.htm

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