『美山夏蓉子/サークル・ステップ』

Roving Spirits/バウンディ RKCJ-2033 ¥2,500(税込)

美山夏蓉子(vo) スガダイロー(p)

1.ザット・イズ・ユア・タイム
2ブラック・コーヒー
3.ビューティフル・タイム
4.サマータイム
5.ダンス・トゥ・ザ・ウインド
6.マイ・ディア・フレンド
7.サークル・ステップ
8ミズ・ビーシー
9.ストレート、ノー・チェイサー
10.ルビー、マイ・ディア
11.ミシェル・マイ・エンジェル

美山夏蓉子(ミヤマ・カヨコ)は日本では極めて異色のジャズ・ヴォーカリスト。即興音楽のヴォイス・パフォーマーともまた違う。ベティ・カーターが「憧れの存在」で「勝手に『心の師』と仰いでいる」と自身のライナーノートにも書かれていたが、美山のスタイルはまさにそれだ。11年ぶりの新作は、そういった彼女の志向が強く現れた録音である。共演者は渋さ知らズでも活躍しているスガダイロー。時にはフリージャズに突入、ピアノとヴォイスのコラボレーションへ。これは一般的なジャズ・ヴォーカルではあり得ない事態といえる。スガは伴奏者ではなく共演者なのだ。メロディからより自由な器楽的インプロヴィゼーションへと発展させることの出来るジャズ歌手は日本ではなかなかいない。その実、歌詞つまり唄の世界に深く入り込んでいる。よく知られた<ブラック・コーヒー>や<ストレート、ノー・チェイサー>もまた独自の解釈で聞かせる。有名歌手の<サマータイム>をフレーズ毎にコラージュ的に繋げるというユニークな<サマータイム>、一人多重録音<サークル・ステップ>の斬新な発想と表現の豊かさ。アカペラ部分でもしっかりと音程やテンポをキープしているのは、伴奏に頼らずに歌っているからだろう。冒頭の<ザット・イズ・ユア・タイム>やスリリングなスキャットが印象的なベティ・カーターに捧げた曲<ミズ・ビーシー>がいい。唄はフレーズ、そしてメロディーであり、声もまた楽器なのである。ゆえに美山の唄は、ジャズの本筋を行っていると言っていい。地道に活動を続けてきたベテランが放った快作!JT

(横井一江)

http://www.k2.dion.ne.jp/~k-miyama/

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