『ルイ・スクラヴィス/ロスト・オン・ザ・ウェイ』

ユニバーサル/ECM ¥2500(税込)7/01発売予定

ルイ・スクラヴィス(cl, ss) マテュー・メツガー(ss, as) マクシム・デルピエール(g) オリヴィエ・レテ(b) フランソワ・メルヴィル(ds)

1. ドゥ・シャリブド・アン・シラ
2. ラ・プルミエール・イル
3. ロスト・オン・ザ・ウェイ
4. バン・ドール
5. ル・ソメイユ・デ・シレーヌ
6. ラール・デ・ソンジュ
7. アボード・ユリシージズ・ボート
8. レ・ドゥット・デュ・シクロップ
9. アン・ヴァン・ノワール
10. ザ・ラスト・アイランド
11. デ・ブルイ・ア・ティセ
12. ラプソンス

Recorded at The´a^tre de St.Quentin-en-Yvelines、September 20-22, 2008
Engineer: Gerard de Haro

ルイ・スクラヴィスは、2008年12月18日新たなクインテットを始動した。パリにある劇場テアトル・ド・サン・カンタン・アン・イヴリーヌのサポートを得られたことから、新しいバンドの構想と新たな作曲に取りかかり、初演に先駆けて9月には同劇場で本作の録音が行われた。バンド名は“ロスト・オン・ザ・ウェイ”。
アルバム・タイトルでもある“ロスト・オン・ザ・ウェイ”とは即ちユリシーズ、オデュッセウスの旅。<ドゥ・シャリブド・アン・シラ(スキュラからカリュブディス)>、<ル・ソメイユ・デ・シレーヌ(セイレーンの眠り)>などのようにギリシャ神話にまつわるタイトルの曲、『オデュッセイア』のストーリーとの関連性をイメージさせるような曲名が並ぶ。それについて、スクラヴィスに尋ねたところ、“ロスト・オン・ザ・ウェイ”には幾つもの意味があり、あなた方自身の解釈で受け取ってもらって構わないという。バンド自体にコンセプトがあるわけではなく、バンドのために曲を書いただけだ、と。聴き手それぞれ個人的な旅、あるいは物語に重ね合わせるもよし。その解釈は聴き手に委ねられているのだ。
軽快なサウンドで始まる<ドゥ・シャリブド・アン・シラ>で出帆するが、その旅行きでは、ジャズ、ロック、そして民族音楽的な要素が交差し、曲毎にドラマが展開される。波乱に満ちた展開を暗示させるような重苦しさが漂うタイトル曲<ロスト・オン・ザ・ウェイ>、セイレーンという怪物のいる島の横を通過する様が浮かぶ<ル・ソメイユ・デ・シレーヌ>などのようにデルピェールあるいはレテの演奏が要となったロック色の濃い演奏、またサックスのメツガーを加え2管としたことで、変化に富む多彩な演奏になった。彼らはスクラヴィスにとっては息子世代といってもいいミュージシャン。スクラヴィスは若手の起用が実に上手い。彼自身も今が旬の彼らから刺激を受けているのだろう。メルヴィルのベテランらしいサポートぶりもまたこのバンドには不可欠。クラシック・ファンも頷かせるスクラヴィスのクラリネット、バスクラリネット奏者としての魅力は言うまでもない。
このバンド“ロスト・オン・ザ・ウェイ”は、これから幾つもの公演やツアーを経てどんどん変化し、よりスリリングな演奏が展開されるようになるだろう。スクラヴィス自身、実際の演奏で「行方不明」つまり想定外の展開をするのもまたよし、といっているのだから。間もなく(2009年7月)来日し、高瀬アキとのデュオで10年ぶりに日本ツアーを行うスクラヴィス。進化した“ロスト・オン・ザ・ウェイ”も近い将来、日本で“観る”ことが出来ることを願っている。JT

(横井一江)

註)日本ツアーの詳細:
http://kazuey1113.web.officelive.com
/atls09.aspx

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