Mayra Andrade/Navega
『Mayra Andrade/Navega』

RCA/Sony BMG Music Entertainment(France)
2006年5月15日発売

1. Dimocransa 2.Lapidu Na Bo 3.Mana 4.Tunuca 5.Comme s’il en pleuvait 6.Nha Sibitchi 7.Lua 8.Naveqa 9.Poc Li Dente e Tcheu 10.Dispidida 11.Reqasu 12.Nha Nobreza

Producer:Jacques Ehrhart

パリで発売記念ライブを見てきました。マイラ・アンドラージって読むんですか ね。 西アフリカはセネガル沖の小島、カポ・ヴェルデ出身の新星歌姫。若い! 可愛 い! ステージに立った瞬間、こりゃ大物、と確信させる華やぎ!パリでは、「セザリ ア・ エヴォラ以来のカポ・ヴェルデの宝」と、マスコミも大絶賛なのでした。前情報 もあ まりないままバスチーユ近くの会場に足を運んだのでしたが、ひと目観た瞬間惚 れま した。何にしても美人は得だね。カポ・ヴェルデはポルトガル・ブラジル間の奴 隷貿 易の中継地だった島で、サンバとファドを足してアフリカのリズムで割ったよう なハ イブリッドなフォーク・ミュージックで知られていますが、マイラ嬢は、さらに キュー バ生まれ、アンゴラ、ドイツ育ち、現在パリ在住という経歴が加わる。まさに「 ディ アスポラ」。素材がこれだけ面白ければ、変な演出はかえって逆効果。そう見切 って、 アルバムもライブもシンプルなセットで押し通したのは慧眼というべきで、アコ ース ティック楽器中心のゴツゴツしたサウンドプロダクションは大正解。マイラ嬢の 、洗 練されすぎない、どこか土っぽい歌声の魅力を浮き彫りして飽かせない。ブラジ ル音 楽(マリーザ・モンチとか)の世界トップクラスの洗練と較べるならば、カポ・ ヴェ ルデの音楽も、そこに根ざしたマイラの音楽も、確かに一段落ちるのかも知れな い。 どこか田舎くさいし、鄙びている。しかし、それを無理に脚色することなくあり のま まに打ち出したこのアルバムは(プロデュースはアンリ・サルヴァドールやカミ ーユ との仕事で知られるJacques Ehrhartだ)、ワールドミュージックが都市音楽とし て 機能するパリの音楽文化の成熟と洗練を一方では感じさせる。大人の観客を相手 に、 臆することなくふるまうマイラ嬢の人懐っこくも知的で凛としたたずまいはパリ の観 客にはことさら魅力的に見えたに違いない。さながら流浪の王女さまだ。鄙では あっ ても、そこには彼女ならではの「雅」のコードがある。それがすなわち、カポ・ ヴェ ルデの“サウダージ”というものなのだろう。遠い小島の岩場に寄せては返す波 に洗 われるような心持ちで、繰り返し身を浸したくなるのだ。 JT
(若林 恵)

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